2871 「無利子国債」いいじゃないか 花岡信昭

「無利子非課税国債」が急浮上した。自民党の菅義偉選対副委員長らが中心となって、政府紙幣などとともに導入を検討する議員連盟も動き出した。
100年に1度といわれる経済危機だ。考えられる方策はすべて取り上げ、大胆果敢に実行していけばいい。
日本の個人金融資産はざっと1500兆円。このうちタンス預金など「塩漬け」状態のカネが150兆円ほどに達するという。これを引き出して活用しようというのが無利子非課税国債の狙いだ。
利子がつかない代わりに相続税を免除するというもので、この手の話には常に「金持ち優遇」批判が出る。そういう「正義派ぶった、おためごかし」はもうたくさんだ。利子がつかないのだから、相続税ゼロでもいいじゃないか。
大企業の業績悪化、輸出不振、消費低迷、派遣切り…暗い話ばかりだが、「1億総中流」といわれる日本で、大方の国民のフトコロにはカネがないわけではない。餓死する人はいない。将来への不安からカネを使わないだけだ。
「カネ持ちからいかにカネを引き出すか」。これが経済活性化の重要なポイントかと思うのだが、表向きの議論にはならない。
無利子非課税国債には、マネーロンダリングに使われるとか財政規律をゆがめるとか、例によって「一見、まっとうな」反論もある。理屈は何にでもついてくるのであって、ここは政治の決断しかない。
新しいことをやろうとすると、「その前に行政の無駄排除を」「公務員の天下りや渡りをなくせ」といった議論が出る。政治の姿勢としては「効率的行政」を掲げ続けなくてはならない。
だが、そうしたことによって生み出されるカネがいかに微々たるものであるかという「真実」も、政治は語らなくてはならない。無駄排除で出てくるカネと消費刺激に必要なカネは、ケタが2つも3つも違うのである。
定額給付金にしても、批判ばかりが目立つが、「ヘリコプター・マネー」の効用がゼロというわけではない。だが、どうせ2兆円をばらまくのなら、国民1人当たり同額の「利用期限付き金券」を住民基本台帳によって一律送付すればよかった。そうすれば、事務処理は楽だったし、一気に2兆円分の景気刺激効果が出た。
誰も大きな声では言わないが、定額給付金は「生活支援」の側面よりも、「金持ちに使わせる」ということでないと、景気刺激には直結しない。無利子非課税国債をめぐる論議と同様の錯覚がまかり通っている。
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