韓国は北朝鮮ミサイルを探知、迎撃する独自のシステム2012年まで構築すると中央日報が伝えている。韓国にとって脅威となるのはテポドン・ミサイルでもなければ、ノドン・ミサイルでもない。射程340-550キロのスカッド・ミサイルなどの短距離ミサイルである。
平時においては北朝鮮のミサイル施設を24時間体制で監視し、発射されればパトリオットミサイルによって空中で迎撃する。テポドン、ノドンも監視対象になるが、迎撃目標からは除外されている。
この計画は空中での迎撃だけでなく、北朝鮮のミサイル基地に対する防御攻撃も含まれている筈である。
<北朝鮮が韓国に向かって発射したミサイルを探知、迎撃する「弾道誘導弾(ミサイル)作戦統制所」が、京畿道烏山(キョンギド・オサン)地域に2012年まで構築される。
同計画が実現されれば、韓国軍は北朝鮮のミサイルを探知、迎撃できる独自のシステムを保有することになる。
軍筋は15日「弾道誘導弾作戦統制所(AMD-Cell)構築計画が06年から履行中だ」とし「作戦統制所は、平時には北朝鮮のミサイル施設を24時間体制で精密監視し、ミサイルの脅威を持続的に評価する」と述べた。また有事の際、第3軍司令部に設置された「対火力戦遂行本部」と連動し発射されたミサイルを攻撃する任務を遂行すると見られる。
「対火力戦遂行本部」は、韓米連合で北朝鮮のミサイルと長射程砲に備える部隊だ。AMD-Cellが構築されれば、国防部が昨年実戦配備したパトリオットミサイル大隊とイージス艦の世宗(セジョン)大王艦が連動することになる。パトリオットミサイルは作戦統制所の指示によって発射され、北朝鮮の長距離弾道ミサイルを空中で迎撃する。
この過程で、韓半島の領空を飛行する米国のDSP衛星(赤外線探知衛星)が情報を提供する。また、世宗大王艦が捕らえた北朝鮮のミサイル軌跡情報も提供される。国防部は北朝鮮の弾道ミサイルを効果的に迎撃するため、現在Pac-2級のミサイルを中心にしたパトリオット大隊にPac-3を補完するとみられる。世宗大王艦に弾道ミサイルを迎撃できるSM-6ミサイルを搭載する案も検討中だ。
作戦統制所が迎撃する対象となる北朝鮮のミサイルは、「スカッドB」または「スカッドC」(射程340-550キロ)や「ノドン」(1000キロ)などだ。
この施設は、射程6700キロ以上の長距離ミサイル「テポドン2号」も探知できる。しかし日本と米国をターゲットにするテポドンなど中距離・長距離のミサイルは迎撃対象から除外される。
スカッド系列のミサイルは最大の秒速が1.6~2キロメートルで、ノドンは秒速3キロメートルにのぼる。両ミサイルは、休戦ラインに近い北朝鮮軍の前方地域に配備されている。ファソン(スカッドミサイルの北朝鮮名)部隊と呼ばれるこのミサイル部隊の司令部は、休戦ラインから50キロほど北部の江原道伊川郡支下里(カンウォンド・イチョングン・ジハリ)にある。
移動式の発射装置を利用し発射できることから、探知が難しい。特にスカッドミサイルはソウルまで2分10秒から2分30秒後に到達できると評価され、脅威要因とされてきた。現在日本はイージス駆逐艦と早期警報レーダーシステムを主軸にしたミサイル防衛システム(JADGE=自動警戒官制システム)を構築した状態だ。
軍当局によると、作戦統制所には早期警報レーダーも備える計画だ。探知距離が400-1000キロメートルにのぼる同レーダーは、ミサイルが飛行する方向と着弾地点などを計算し、作戦統制所とパトリオット部隊に同時に伝えることになる。
購入対象となる国は、米国(FBX)、フランス(M3R)、イスラエル(グリーンパイン)が検討されており、今年決定し、2010年には確保できるとみられる。軍筋は「北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応するための“韓国式弾道・誘導弾防衛システム構築計画”が06年“合同参謀議長指揮指針書”に明文化された後、作戦統制所構築計画を進めてきた」と話した。
また「作戦統制所が構築されれば、現在ミサイル防衛・迎撃作戦に向け単独で運用中の在韓米軍の戦区誘導弾作戦班(TMO-Cell)とも連動できるだろう」と付け加えた。(中央日報)>
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