名門・麻布中学高校から東大法学部を出て日本興業銀行入行、父の中川一郎の不幸な死があって、1983年12月総選挙で衆議院議員初当選という人も羨むエリート・コースをばく進していた中川昭一財務相がローマの七カ国財務相・中央銀行総裁会議で醜態を演じてしまった。
民主党は17日にも中川財務相の問責決議案を参院に提出するという。問責決議案が可決されるのは避けられない。沈没寸前の麻生内閣に与える打撃は深刻なものがある。
自民党内では志帥会(旧中曽根派)の会長代行、いずれは志帥会を率いる若手タカ派の代表選手と目されていた。しかし以前から酒が入ると酒乱になるという風評が絶えなかった。問題があると「酒はやめる」と誓うのだが、やめられない無類の酒好き。
一連の報道では触れられていないが、二〇〇八年十一月二十日にスペイン国王夫妻を迎えて開催された天皇皇后両陛下主催の晩餐会で悪酔いして、騒動を起こしたことが週刊新潮にすっぱ抜かれいる。
晩餐会では、テーブルを挟んで正面にいた妻から「お酒、もうやめなさい」と言われながら鯨飲して、野村一成東宮大夫に「水問題について皇太子殿下がお詳しいと聞いたので是非お話しさせていただく機会がほしい」と絡んだ。
皇太子殿下が皇室の公務の在り方に新しい考え方をお持ちなのは知られているが、天皇陛下はこれまでの公務の在り方を守る意向だという。それを忖度している野村東宮大夫から素っ気なく「無理」と返されたことで、中川氏は激怒して「分かった、帰るっ!」と大声をあげたと週刊新潮は書いている。
今回は酒ではなくて、風邪薬を飲み過ぎたためだと弁明しているが、いずれにしても国際会議の記者会見の場で醜態を曝したのは弁解の仕様がない。これで麻生内閣の支持率はヒトケタに転落するであろう。やはり不明を恥じて、潔く辞任して出処進退を明らかにする必要がある。
<民主党は16日夕の幹部会でローマでのG7閉幕後、ろれつが回らない状態で記者会見した中川昭一財務相への問責決議案を17日にも参院へ提出する方針を固めた。自民党幹部からも「世界に恥をさらした」と中川氏の辞任を求める声が出た。
問責決議案が可決され中川氏が辞任すれば、麻生政権に大きな打撃となるのは必至だ。自民党幹部は「自ら腹を切るべきだ。一日でも早い方がいい」と強調した。(共同)>
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2903 麻生内閣の支持率はヒトケタに転落か 古沢襄

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