2907 深謀遠慮の明治神宮参拝 古沢襄

<来日中のクリントン米国務長官は17日朝、麻生太郎首相ら閣僚との会談に先立ち、東京都渋谷区の明治神宮を参拝、神楽の舞などを鑑賞した。クリントン長官は濃紺のジャケットと黒いズボン姿。出迎えた明治神宮職員らと握手を交わした。
本殿前の通路には規制線が張られ、物々しい雰囲気。参拝前に報道陣の前に姿を見せたクリントン長官は「日本に来ることができて光栄」と笑顔を見せた。明治神宮を訪問したことについて「日本の歴史と文化に敬意を表するため」と話した。(日経)>
心憎いばかりの演出である。米国民の間で根強いヒラリー人気が衰えない魔術をみた気がする。「日本の歴史と文化に敬意を表する」と言われれば、悪い気がしない。日本人の気持ちをくすぐる。
韓国のメデイアは史上最強の国務長官と持ち上げている。訪韓前に韓国の国民の心をすでに掴んでいる。中国は「アジア歴訪の最後に中国を訪問するのは、中国重視の現れ」と言っている。他国の国民感情を掴むには、その国の伝統・文化を素直に称賛する心遣いが欠かせない。夫のクリントン元大統領とは違う。
アメリカは何故、日本や韓国、中国に心遣いをみせるのだろうか。
昨年の12月13日に麻生首相は、中国の温家宝総理と韓国の李明博大統領を招き、初の「第一回日中韓サミット」を開催した。今後は日中韓サミットは、年に一回定期的に開催されることが決まり、次回は中国で開催される。
日本では日中韓サミットがあまり評価されないが、米国務省は注目と懸念を示している。アメリカの枠の外でアジアの強国が経済的繁栄のため、新たなスキームを構築する動きという捉え方をした。一方で歓迎し、その一方でアメリカを除外した新たなスキームは気になる。
クリントン国務長官が初の海外訪問先にアジア歴訪を選んだのは、米国務省の深謀遠慮がある様に思う。それは正しい選択であろう。明治神宮を参拝したことを、この様な視点でみるのは考え過ぎだろうか。
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