市場は敏感に反応する。オバマ米大統領は23日、ホワイトハウスで演説し「1期目が終わるまでに(ブッシュ前政権から)引き継いだ財政赤字を半減させることを固く約束する」と高らかに歌い上げた。
この日、オバマ大統領は議会指導部らと超党派で財政再建を話し合う「財政サミット」を開催した。大型景気対策や金融安定化策で、当面の赤字は空前の規模に拡大するが、将来の財政健全化も両立させる考えを示した。
米国社会を覆う底なしの不況から脱するためには、空前の景気対策費を投入しなければならないが、それはまた米財政が底なしの赤字を抱えることになる。オバマ大統領は米国債利払いが教育予算の3倍に達すると述べて「わたしは返済できない借金を子供に残すことを拒否する」と大見得をきった。
だが名演説だけでは深刻な米経済は立ち直らない。それを敏感に嗅ぎとったニューヨーク株式市場は、先行きに悲観的な見方が広がって、約11年9カ月ぶりの安値水準に転落した。7000ドル割れも時間の問題であろう。
訪米した麻生首相が米国債を大幅に買い増しすると約束し、米国債の保有で第一位の中国も言葉尻を合わせてくれれば、ニューヨーク株式市場は反転、上昇に転じるのは間違いない。だが、それは簡単には出来ない相談なことを市場は知っている。
しかし米国がコケたら日本も中国も一緒に奈落の底に落ちる。大変な時期に麻生首相は訪米したことになる。オバマ大統領に色よい約束をしても、帰国すれば総選挙で敗北必至の政局が待ち受けている。
【ニューヨーク23日共同】週明け23日のニューヨーク株式市場は米経済の先行きに悲観的な見方が強まり大幅続落、前週末比250・89ドル安の7114・78ドルで取引を終えた。終値としては97年5月以来、約11年9カ月ぶりの安値水準となった。
ダウ平均は下げ幅が一時259ドルに達し、7000ドル割れが迫った。リーマン・ブラザーズの経営破綻後わずか5カ月で、最高値のほぼ半値に落ち込んだ。(共同)>
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2932 ニューヨーク市場が大幅続落 古沢襄

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