2950 新しい保守政治の構築が肝要ではないか 古沢襄

日本の政治家で世界情勢を俯瞰的に見ることが出来る人が少ないのは、やはり戦後政治の生んだ歪みなのであろう。俯瞰的に見るというのは、外交・安全保障で不動の視点を備えるということではないか。
民主党でいえば前原誠司氏がその一人である。永田メール事件で代表の座を去ったが、昭和37年4月30日生れだから復活のチャンスが十分にある。自民党とか民主党という党派を超えて、前原氏の復活を期待する声が超党派で存在する。
産経新聞に「日本外交の基軸は日米同盟」の所論を述べている。(1月24日朝刊)
<麻生内閣の支持率が20%を割り込んで、自民党内には「麻生太郎首相では選挙ができない」という雰囲気が出ている。
だが、民主党は泰然自若としていればよい。政権交代を訴えて衆院解散・総選挙の早期実施を求めていくことが大切だ。次期衆院選の結果、単独過半数に届かないならば、何らかの連立政権構想が出てくるだろう。
届いても、参院は社民・国民新両党と協力しなければ、過半数に達しない。選挙後には、いろんな形の連携を模索する必要がある。
自民党の対決路線を前面に押し出す小沢一郎代表の政治手腕は政権交代の一歩手前まで持ってきたので高く評価する。
ただ、二大政党制が定着してくれば衆参両院で多数政党が異なる「ねじれ」状態は今後もあり得る。国会が混乱し政策実現が進まなくなれば、日本の発展にとってマイナスだ。
今後は与野党が国会できちんと議論して結論を出す、成熟した民主主義を模索するだろう。小沢代表にも、将来的には知恵を出しまとめていく努力を求めたい。
一方、日本外交の基軸は日米同盟だ。ヒラリー・クリントン国務長官も日米同盟について、「アジア・太平洋地域の平和と繁栄を維持するために不可欠で、アジアにおける米外交の要だ」と明言している、オバマ政権で日米関係に大きな変化はないだろう。
民主党は昨年の臨時国会でインド洋の海上自衛隊の補給活動を一年間延長する新テロ対策特別措置法改正案も反対した経緯があるので、民主党政権が誕生すれば、海自の補給活動は中止する。だが、アフガニスタンの安定、中東全体の安定は、石油価格の安定につながるので、日本は何らかのコミットメントをする必要がある。
具体的には国際治安支援部隊(ISAF)に参画し、ある地域の地方復興チーム(PRT)に責任を持ち、農業指導、警察、医療など民生分野の支援に乗り出すべきだ。治安を維持しながら活動することになるので、武器使用基準は柔軟に考えた方がいい。
小沢代表が提唱する「国連中心主義」は国連のステータスを高める努力を各国がしていくという意味では、悪くない。日本は、国連と日米同盟をうまくバランスさせて、日本の安全保障と国際貢献活動をしっかりやっていくことが大事であり、「国連至上主義」になってはいけない。>
小沢代表の下で政権交代を目指す民主党のワク内での発言だから、奥歯にモノが挟まった微妙な言い回しにならざるを得ない点があるが、①オバマ政権で日米関係に大きな変化はない②アフガニスタンの安定、中東全体の安定は、石油価格の安定につながるので、日本は何らかのコミットメントをする必要がある・・・
③治安を維持しながら活動することになるので、武器使用基準は柔軟に考えた方がいい④日本は、国連と日米同盟をうまくバランスさせて、日本の安全保障と国際貢献活動をしっかりやっていくことが大事であり、「国連至上主義」になってはいけない・・・という指摘は正鵠を射ている。
この視点は前原氏が政界に登場して以来、変わっていない、新しい保守主義の旗手として思想的なブレがない点で期待できる政治家である。
正直に言って戦後久しく保守主義の座にあった自民党的な理念?は制度疲労を起こしている。その最大の理由は保守の理念を正面から掲げずに、野党との妥協で糊塗してきた国対政治の手法にある。
それが最も賢い政治手法だと思ってきたことが自民党の衰退を招いている。このままだと社会党が衰退した様に自民党政治も衰退する。外交・安全保障政策は国家の基本政策だから妥協は許されない。
当然のことながら革新陣営から激しい抵抗を受けるであろう。そのぶつかり合いの中から妥協の道を探るのは政治の世界だから許される。だが、ぶつかり合いを避けて国対政治的な妥協に走るのは邪道ではないか。
選挙で自民党が敗れて野党に転落するのを恐れてはならない。そこから新しい保守政党に脱皮できるチャンスがある筈である。一日も早く総選挙をする覚悟が肝要ではないか。
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