2951 江沢民派が仕切る中国軍幹部 宮崎正弘

中国軍幹部、依然として江沢民派が上層部を抑え込む。総参謀本部、軍の動員を江沢民派の同意を待って命令。
中国人民解放軍で、軍の移動、出動を命令するのは総参謀部である。
現在、総参謀部長は陳徳丙(上将、66歳)。胡錦涛の辞令により、就任してから一年になるが、実際の権力をまだ発揮できない。前総参謀部長の梁光烈が、ことあるごとに出しゃばって、陳徳丙を妨害するからという。
四川省大地震における災害派遣にしても、軍の出動要請は温家宝首相から、胡錦涛主席(軍事委員会主席でもある)につたわり、胡が軍に出動を命令したが、総参謀本部高官らは、依然として江沢民派が多数を占め、そのトップだった前の部長(つまり梁光烈)の顔色を窺うため、指揮命令系統に時間差が生じた、という(博訊新聞網、2月27日)。
梁がことあるごとに妨害するのも、陳徳丙とは僅か一歳しから年齢が違わず、人事に不満を抱いているのが原因という。梁は67歳、引退にはまだ早いと言うわけだ。
陳は江蘇省南通の出身で、上海に近いが、こうした理由で上海派の仲間には入れず、かといって軍の内部の影響力がいまも薄い胡錦涛に100%の忠誠を誓うのは危険という判断も働いているらしい。
党に従属するはずの軍でも、いまや指揮系統が迷走状態。軍内に反日タカ派が勢力を扶植中なのも当然といえば当然だろう。
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NATOのNRF(即時対応部隊)はアフガニスタンで変質へ。独仏は対露戦略上、消極的。新参は積極的貢献を臨んでいるが・・・。
NATOの政治目的は冷戦後、おおきく変わった。
ボスニアで変質し、アフガニスタン紛争でまたまた変質と変化を余儀なくされ、率直に言って嘗ての米欧主導、反ソ軍事同盟の面影は希薄、加盟国二十八カ国の思惑はバラバラ、イラクとイランをめぐっては深い亀裂が独仏英と米の間に表面化している。
その米欧の「同盟」が創立60周年をむかえ、さらにどう軍事同盟が変革するか、2010年に日米安保条約改定五十年を迎える「日米同盟」にとって対岸の出来事と傍観するだけでは済ませられないだろう。
NATOの「即時対応部隊」(NRF)は過去八年間、レトリックに終わった。僅かに数例派遣されたとはいえ、ハリケーン・カトリーヌの災害救援活動だった。
NATO六十周年記念サミットは4月2,3日の両日独仏国境で開催されるが、その準備会とも言えるクラクフ(ポーランド)の国防相会議は迷走ぶりを見せた。
 
アフガニスタンへの派遣をめぐって、その使命、規模、役割分担などで意見がまとまらず、新規加盟国家は積極的、独仏は消極的、イギリスは緊急部隊の規模拡大に反対し、1500名程度の常備軍で良いとした。
ゲーツ米国防長官は、アフガニスタンでは五月から選挙。八月の投票日までの警戒が最重要課題として、任務の拡大を呼びかけた。
そもそもNATOは2002年のプラハ会議で「NRF(即時対応部隊)を二万五千人規模、五日以内に世界のいかなる紛争地域にも派遣可能な即時対応の部隊」が必要とされ、さらに2006年のリガ会議では、その増強が謳われた。
次のNATOサミットの議題は六つ。(1)対テロ戦争(2)テロの脅威と挑戦への対応(3)核兵器拡散(4)サイバーテロ(5)温暖化と安全保障、エネルギー対応(6)超限戦(非通常戦争)への対応。
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