民主党は一両日中にも公表される各紙の世論調査を息をひそめて注目している。一方、自民党内にも世論調査で麻生内閣の支持率がどう出るか、その結果によっては”麻生おろし”が顕在化する可能性が濃厚となった。
世論調査という手法が導入されて半世紀の歳月が去ったが、事前にその結果がこれほど注目された例はない。
西松建設献金事件をめぐる東京地検特捜部の捜査状況は。検察当局からは公式な発表がないが、かつてないほど詳細な内容が漏れてくる。マスコミ各社の熾烈な取材合戦が背景にあるが、「検察の国策捜査」と小沢代表ら民主党幹部が全面対決の姿勢をとったことが影響している。
検察取材は固く口を閉ざす検察官に対して、連日、禅問答のような取材が演じられている。その中からリーク(洩らす)と称する”当たり”を取る社会部記者の腕の見せ所が紙面競争に現れる。これまで見ていると、初期段階では朝日新聞が一頭地抜いていたのではないかという印象を受ける。
捜査状況で第一にいえるのは、西松建設が海外で捻出した裏金を違法に国内に持ち込んだ外為法違反容疑は、ほぼ全容が解明されたのではないか。表面には出ていないが、米司法当局の協力があったのではないかと思われる。この構図は田中首相が逮捕されたロッキード事件と似ている。
関係した西松建設の幹部からの供述もほぼ得られた様である。問題は違法な裏金がどの様なルートで政界に流れたかの全容解明になる。いずれにしても小沢代表の公設第一秘書である大久保容疑者の供述が否認のままで終わるのか、一部を認めるところまで追い込めるかが勝負どころになっているのではないか。
<西松建設献金事件:東北の大型工事狙い 小沢氏の力期待--幹部供述
小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、準大手ゼネコン「西松建設」の前社長、国沢幹雄容疑者(70)ら複数の幹部が「献金には大型ダムなど東北地方の公共工事を受注する目的もあった」と供述していることが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、十数年前から小沢氏側に提供されてきた毎年2500万円前後の献金の目的について解明を進めている模様だ。
同社関係者らによると、国沢容疑者らが献金の成果と受け止めた事業の一つが、06年3月に国土交通省東北地方整備局が発注した胆沢(いさわ)ダム(岩手県)の関連施設工事で、西松建設を含む3社の共同企業体(JV)が約100億円で受注した。13年に完成予定で、岩石や土砂を積み上げて建設するロックフィルダムとしては日本最大級。
別の同社関係者や国会議員のベテラン秘書によると、小沢代表は「東北・北関東では王様」と呼ばれるほど建設業界に影響力を持っており、国沢容疑者らはそれに期待していたとみられる。西松建設が東北で受注した公共工事は、岩手県が発注した過去10年分に限っても、契約額は約90億円(いずれもJVで受注)に上っている。
一方、毎日新聞の取材に応じた西松建設元役員の一人は、胆沢ダム関連工事について「献金のおかげではなく、業者間の調整で落とした。『金を使ってでも工事を取る』という発想は、(国沢容疑者のような)事務屋のもの。民間同士の協議に政治家への金が絡むとおかしくなる」と献金の効果を否定しており、国沢容疑者らとの認識のずれも浮かび上がっている。
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西松建設が海外で捻出(ねんしゅつ)した裏金を違法に国内に持ち込んだとして、外為法違反で起訴された同社元海外担当副社長、藤巻恵次被告(68)について、東京地裁は6日、保釈を認め、保釈された。保釈保証金は1000万円。(毎日)>
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2986 大詰めを迎えた西松建設献金事件 古沢襄

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