2988 検察は「民主党政権」を嫌った? 花岡信昭

民主党政権に対する危惧というのは、実は、民主党政権が誕生する場合、社民、共産両党の意向を反映したものとなる可能性がある、ということだ。民主党は社民党とは選挙協力で臨むことになる。共産党は候補を絞り込むから、共産候補のいない選挙区の共産支持票は、かなりの部分が民主候補に上乗せされることになる。
つまり、総選挙の結果、こういう政治状況下で民主党政権が生まれた場合、社民、共産両党の発言力が一気に拡大する可能性があるということだ。検察当局はここに危うさを感じているのではないか。誤解のないように、重ねて言うが、これはあくまでも、政界筋が示す「ある見方」である。
そう考えてきて、細川連立政権当時、情報当局者が漏らしたことを思い起こした。8党派の連立であった細川政権には、当時の社会党が含まれていた。北朝鮮の朝鮮労働党の友党であった。「首相官邸に公安、防衛情報の高度な機密部分を上げられなくなった」というのである。
その当時と政治状況はずいぶん変わってはいるのだろう。だが、検察当局がこの時期に「小沢氏直撃」ともいえる強制捜査に乗り出した背景を考えると、どうしてもそうしたたぐいの危惧がぬぐえないのである。
★この時期に強制捜査に着手した理由
第1秘書逮捕の3日は、第二次補正予算がらみで残されていた定額給付金の財源確保のための関連法案が参院委員会で否決された日である。翌4日、参院本会議で否決され、衆院本会議で再可決規定が適用されて成立した。
民主党は来年度予算案と関連法案の月内成立に「協力」することになっている。参院で否決し、衆院再可決を可能にするわけで、これにより、予算は関連法案を含めて年度内成立が実現する。徹底抗戦で与党を追い込むのではなく、民主党が「もの分かりのいい態度」を取るのは、「予算成立後の解散」を引き出すためだ。
東京地検がこの時期に強制捜査に着手したのは、一部が時効にかかるという事情もさることながら、予算成立・解散・総選挙という流れが固まってしまうと、総選挙後まで手を出せなくなることを恐れたのではないか。
突然飛び込んだこの一件によって、政局の構図は大きく変わろうとしている。小沢氏の政治責任は免れまい。代表辞任から、展開によっては議員辞職もあり得る事態となった。自民党内からは小沢氏辞任の直後に解散を打て、という勇ましい声も聞こえてくる。
麻生首相側の「敵失連発」で優位に立っていたはずの民主党だが、今度は自らの失策で一転して窮地に追い込まれた。だが、与党側がここぞとばかりに「相手の傷に塩をなすりこむ」手法を取ると、再び攻守入れ替わることにもなりかねない。
それはともかくとしても、麻生首相が解散時期のフリーハンドを握りつつあるのは確かだろう。ポスト麻生を巡る自民党内の不協和音もおとなしくなるかもしれない。政局はこうしたスキャンダルで一変するのであって、そこが人間の行う政治の「妙」ということになる。
<<民主党・鳩山幹事長の弁>>
【6日付メルマガから。転載は自由だが意図に反した引用はご遠慮を、とのことなので論評抜きで転載します】
それは正に青天の霹靂でした。みなさんご案内の通り、小沢代表の第一秘書の大久保隆規氏が政治資金規正法違反の容疑で逮捕されました。西松建設に関わるふたつの政治団体から小沢代表の資金管理団体「陸山会」への献金が、事実上西松建設からの献金であるにもかかわらず、ふたつの政治団体からもらったように虚偽記載を行なったのではないかとの容疑です。
このことによって、麻生政権に失望し、民主党への政権交代を期待して辛抱強くご支援くださっている多くの方々にご心配をお掛けしてしまいましたことを、率直にお詫びいたします。
しかし、この逮捕はおかしなことづくめです。従来、このような政治資金規正法の形式的な違反が疑われる問題に関しては行政指導で済ましてきました。つまり、修正申告を行なうか、献金の返却などを行なうことによって事足りていたのです。
この程度の疑いで強制捜査が入り、しかも会計責任者が逮捕されるなどということは過去に例がありません。実際、西松建設がらみのふたつの政治団体から自らの政治団体に献金を受けた議員は、小沢代表のほかに自民党などにもいるのですが、彼らは口を揃えて、「適正に処理をしている」とか、「返金する」とか述べて、逃れようとしています。
小沢代表と他の議員との間に献金額の大きさに相違はありますが、罪に問われるか否かは額の多寡によるものではありません。なぜ、選挙を控えた今、民主党の小沢代表の秘書だけが逮捕されたのでしょうか。
私たち民主党は、政治資金の透明化と規正の強化を基本政策としていますので、法令に違反があれば、司法が厳しく取り締まるのは当然で、いたずらに検察批判をするつもりはありません。しかしながら、政治資金の収支、即ち、お金の出し入れについて、最も厳しく律して、全てを公開してきた小沢代表の事務所だけが狙われたことに、政治的な意図があるのではないかと疑うのは私だけではないと思うのです。
この事件の翌日、小沢代表は記者会見を行ないました。TVで実況中継されましたので、ご覧になった方も多いと存じますが、傍で聞いていた者として、小沢代表は極めて真剣に丁寧に質問に答えていましたし、その態度には「自分は潔白である」との自信が漲っていました。小沢代表は「もし、便宜を図った見返りで利益を得た、収賄をしたと言うのなら、容疑をかけられても仕方がないが、そのような事実は一切ない」とも明言しました。
岩手県のダムや空港が取りざたされていますが、西松建設側が小沢事務所に仕事の受注の協力を期待したとしても、小沢事務所が便宜供与していない以上何の問題も生じません。
そもそも、西松建設からの献金と分かっていたなら、政党支部で受け取れば何の違法性もないのですから、政党支部で受けていたに違いないのです。それを、敢えて資金管理団体で受けたということは、西松建設からの直接の献金と認識していなかったに相違ないのです。民主党役員会は小沢代表のそのような説明に納得し、党としてこの不条理な事態に一致して対処していくことを決めました。
検察も強制捜査、逮捕という強硬手段をとった以上、大久保容疑者の起訴に向けて、全力を挙げてくるでしょう。既に、「リーク」と思われる情報操作が盛んに行なわれています。私どもはこのようなやり方、即ちリーク自体が、立場上知りえた情報を漏らしてはならないという国家公務員法違反ではないかと考えますが、いずれにしても、官僚主導の政治を打破する直前に、このような事態になったことを深刻に捉えて、国民のみなさんの気持ちを大事にしながら問題の解決に当たってまいりますことを誓います。
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