2999 政界の一寸先は闇 古沢襄

政局の潮目が変わるのを半世紀の政治ウオッチャーとして何度も経験してきたが、今回ほど劇的な風向きの変化は経験したことがない。麻生首相の敵失に助けれた面があるが、小沢民主党が総選挙で勝つ公算が強いとみられていた政局が一夜にして分からなくなった。
まさに政界の一寸先は闇である。それだけに西松建設献金事件をめぐって東京地検特捜部が大久保容疑者の逮捕に踏み切り、強制捜査に着手した影響は大きい。民主党から”国策捜査”という恨み節が出る気持ちが分からぬでもない。
しかし一般庶民の感情は正直である。麻生首相に対する期待度は地に墜ちたままだが、それよりも小沢代表に対する批判はかつてないほどの高まりをみせている。民主党の支持率は大幅に下落したが、それよりも”小沢首相”に対する拒絶反応は国民の過半数に達した。それは朝日、読売、共同の世論調査で如実に現れた。
国民は麻生首相にも”小沢首相”にもノウを突きつけている。自民党にも民主党にも現状打破の脱皮を求めている。参院選以降のねじれ国会で繰り広げられたエンドレスの混迷政局には飽き飽きしている。その不満は爆発寸前にある。
マスコミ各社が行った世論調査を自分の都合のよい様に解釈して、泥試合を続ける様なら日本の民主主義は深刻な危機を迎える。
国民が求めているのは、世界を覆う同時不況の嵐の中から超党派で対応する迅速な政策の実行であろう。同時に日本が国際社会の一員として迅速な貢献を果たすことではないか。
民主党に対する支持率は大幅に低下したが、二大政党の一方の旗頭としての存在価値は否定されていない。小沢民主党の手法に国民は嫌悪感を示しただけである。民主党を見捨てたわけでないのは各社の世論調査に出ている。
むしろ国民が見捨てているのは麻生政権の方であろう。民主党の敵失を待っていれば、追い風は麻生政権に吹くと思うのは甘過ぎる。いち早く看板を塗り変えて、選挙で国民の信を問う時期が近づいている。
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