米国が2001年に民主党政権から共和党政権に代わったとき、商務省観光局がほぼ解体消滅したのには驚かされた。その在日事務所の職員は情け容赦なく解雇である。政権が代わるとずいぶんドラスティックに変わるのだなあと思い知らされ、小生の会社も観光局の仕事を打ち切られてしまった。
日本の公務員は終身雇用で身分が安定しているが、米国では「政治任用」(political
appointee)という制度があり、公的機関の幹部職員は政権が代わるとほとんどが入れ替わる。CNNによると今回は8000弱のポストに「空き」が出るとされ、これに30万人が応募しており、37倍の狭き門という。
<2001年にブッシュ大統領が就任した際は約44,000件、1993年のクリントン政権の発足前には約10万件の応募があったが、両者に比べオバマ政権の人気が抜きんでていることが分かる。インターネットを通じた人材募集を行っていることも、応募者増に拍車をかけているようだ>(CNN)
すべての人事を終え着任るのは4~5月で、それまでは政権移行期となるため、思い切った政策の実行は手控えられるようだが、この期間は生まれたての赤ん坊のように政権が一番弱体化している時期でもあろう。
大丈夫なのか、と思っていたら、やっぱり大丈夫ではないのだと外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」日本語版がこう報じている。
<政権政党が交代する場合には、政権移行をめぐる協調がうまくいかないこともある。次期政権の高官たちが、政治的確執や「自分たちのほうがうまくやれる」という自負心から、現政権のブリーフィングをまともに取り合わないこともあるからだ>
政敵だからさもありなん。「まともじゃないから選挙に負けたのだよ、そんな奴らから聞くべき話なんかないね」となりそうである。
<新政権側の政権移行チームを率いる責任者には、選挙キャンペーンに参加したメンバーではない人物が指名されることが多い。これは、政権移行プロセスが、選挙戦が終わる前に開始されるために、選挙キャンペーンに参加しているメンバーがこの任務を担うと、不必要な緊張と軋轢が生じる危険があるからだ。
高官の指名の人選を新大統領にアドバイスし、政策面での優先順位の大枠を示すのも政権移行チームの責任者の役目だ。このために、選挙キャンペーンを闘った政策チームは、政権移行期に決められた政策面での優先課題を前にすると、自分たちの意向がないがしろにされたと感じることもある>
なるほど。選挙戦中は武闘派が必要だが、戦後は実務派が優遇されるというわけだ。なにか悲しくなるような現実である。
外交・軍事で基本的にぶれないから米国の二大政党制は機能して233年だが、それでも上記のような瑕疵は免れ得ない。ところが我が国の自民党と民主党は基本線でぶれまくっているから、政権交代したらすさまじい混乱が置き、ちょっと収拾がつかなくなるのではないか。
なにしろ民主党とその仲間たちには「自衛隊をなくして安全を国連に委ねよう」「タリバンの昔に帰ろう」などとほとんど理性を失ったような連中がうじゃうじゃいるのである。
「政権交代なんてとんでもない」と庶民の小生が不安に思うのだから、検察庁や自衛隊の中にもそう懸念する高級官僚やら幹部がいても不思議ではない。そうであるかどうかは分からないが、小沢の大番頭を逮捕したからには小沢失脚でしか落着はあり得ない。俺なら入院するけどなあ・・・
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3002 「政権交代」の日米格差 平井修一

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