3068 小沢氏「代表辞任せず」だと 花岡信昭

やはり小沢氏は代表を辞任しないようだ。この判断、吉と出るか、凶と出るか。
3月3日、公設第1秘書が逮捕された時点では、小沢氏の代表辞任は避けられないとだれもが思った。政治の世界では、こういうことが起きた場合、進退をいち早く明らかにするほうが、「その後」につながる。
「いさぎよさ」のようなイメージも出てきて、場合によっては同情論のほうが勝ったりする。小沢氏の政治経歴を見れば、自民党幹事長を辞任したとき、竹下派会長代行となり、結果的には政治的力量を強化してしまった。辞任の決断をスピーディーに行うことで、その後の展開の主導権を握ることが可能になる。
百戦錬磨の小沢氏のことだ。そんなことは百も承知であるに違いない。だが、今回のケースでは、代表続投にこだわった。
それは、ここで代表を辞任すれば、「その後」がないと踏んでいるためではないか。代表辞任はすなわち自身の政治生命が断たれることを意味する。小沢氏はそう判断したのではないか。
「代表辞任せず」は、24日、東京地検が秘書を起訴したとしても政治資金規正法違反(虚偽記載)にとどまるということが大前提だ。
小沢氏は「修正申告すれば済む話。それを逮捕したのは選挙妨害」などと主張してきた。企業献金であれば政党支部で受領するのは認められているから、「陸山会」ではなく、岩手の政党支部で受け取ったというかたちに修正して申告しなおせばいい、ということだ。
となると、東京地検がどういう発表の仕方をするか、そこに注目したい。メディアが書き立てているような、公共事業をめぐる西松建設と小沢氏側の「癒着の構図」がどこまで明らかにされるのか、ということだ。
東京地検のことだから、修正申告すれば済むような程度のことを立件しようとしたのではあるまい。おそらくは旧田中派以来のゼネコンと有力政治家の不透明な関係をあぶりだすことを狙ったに違いない。
だが、その当初の狙いは果たせなかった、ということか。長野県知事の元秘書自殺によって、描いた構図に狂いが生じた、といった見方もある。
東京地検がどのあたりに「着地点」を設定するのか、そこが興味深い。
小沢氏としては、なお、いくつかの選択肢も残されてはいる。代表は続投するものの、首相候補は岡田克也氏らほかの民主党幹部にするというウルトラCがある。自民党でいう「総理・総裁分離論」だ。
あるいは、代表を辞任して後継代表を選び、自身は幹事長なり選対トップなりの立場について、事実上、次期総選挙の陣頭指揮を執るというシナリオもある。「小沢院政」の構図だ。
麻生自民党は小沢氏の代表続投のほうが戦いやすいとしているようだが、甘く見ていると、せっかくの「特大敵失」を効果的に使えないことにもなりかねない。
【参考・産経ネット配信記事】
<民主党の小沢一郎代表が、公設第1秘書の政治資金規正法違反事件に伴う自身の進退について、虚偽記載で秘書が起訴されるにとどまった場合、代表を続投する方針を固めたことが21日、分かった。党幹部が明らかにした。秘書の勾留(こうりゅう)期限の切れる24日までに、次期衆院選への影響や党内情勢を慎重に見極め、最終判断するとみられる。
代表続投の背景には、「起訴イコール有罪ではなく、有罪か無罪かは最終的には裁判の結果、下される」(周辺)との判断がある。また、起訴された場合でも、虚偽記載で野党第一党党首側に強制捜査を行った東京地検特捜部に対し、世論の批判が強まるとの思惑がある。
代表を辞任した場合、党内外で起訴事実を認めたと受け止められる懸念があり、結果的には、民主党に対する批判が強くなり、次期衆院選に悪影響を与えるとの読みも、続投に傾いている要因とみられる。
党幹部は21日夜、小沢氏の進退問題に関し、「起訴が虚偽記載にとどまるなら続投する」との見通しを示した上で、小沢氏も同じ考えだと強調した。党内手続きとしては、秘書が起訴された場合には、小沢氏、鳩山由紀夫幹事長、菅直人代表代行らによる幹部会や両院議員総会で了承をとりつける。>
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