このところ韓国の東亜日報が中国筋からキャッチした独自ダネを連発している。金正日総書記には六十三歳(1946年生まれ)になる金敬姫という妹がいる。金正日と同じ金正淑を母とする同母妹なことから、兄の金正日からは溺愛されているといわれている。それが重体におちいったという情報である。
夫は張成沢、金正日の側近である。妻の金敬姫とともに長男・金正男の後見人と噂されている。金正日の後継者として三男・金正雲が軍部の支持を得て決まったという情報がある一方で、米国や中国の北朝鮮情報筋からは、長男の金正男を有力視する見方が消えていない。
金敬姫が亡くなれば、金正男は有力な後見人を失うことになる。後継者レースは三男の金正雲に一気に傾くということになりかねない。金正雲の後ろ盾とみられる金永春人民武力部長、国防委員会副委員長らタカ派軍部の発言力もさらに強くなるであろう。
その意味で東亜日報の金敬姫重体説は、北朝鮮の今後を占う重要なニュースと言わねばならない。
<北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の妹、張成澤(チャン・ソンテク)労働党行政部長の夫人・金敬姫(キム・キョンヒ、63)氏が、アルコール中毒の合併症で意識不明に近い重体であることが分かった。昨年10月、金総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏が北朝鮮に連れてきたフランス神経外科専門医のフランソワ・グザビエ・ルー氏(65)が治療したのも、金敬姫氏だったということだ。
北京経由で平壌(ピョンヤン)に自由に出入りする朝鮮総連系の在日朝鮮人事業家A氏によると、金敬姫氏は、長年アルコール中毒を患い、脳にも致命的な副作用が現われたという。
金正男氏が昨年、外部に露出する危険があるにもかかわらず、フランスからルー氏とともに平壌入りしたのは、甥として普段からかわいがってくれた叔母を心配したためだということだ。
ルー氏は10月24日、北京空港で平壌行きを認めたが、金総書記の治療のために行くのではないとしていた。その後、ル・フィガロ紙は12月11日付の記事で、ルー氏の言葉として、「金総書記は、脳血管障害ではなく、外科手術も受けていない」と伝えたが、ルー氏は2日後、同報道を否定した。
A氏は、金総書記が1月末に訪朝した王家瑞・中国共産党対外連絡部長とアルコール度数の高い酒を飲んだという話を聞き、金総書記でなければルー氏が治療したのは誰なのかを調べていたところ、この事実を知ったと伝えた。
また、「ルー氏が、北朝鮮を訪問した当時、一部では、金総書記の健康悪化説が流れたにもかかわらず、北朝鮮が否定も肯定もしなかったのは、金総書記が外部の関心を自分に集めさせ、妹の深刻な健康状態から視線をそらせるための意図的な措置とみえる」と語った。
また、別の北京の情報筋も、「昨年、金総書記の健康悪化説が出た時、金敬姫氏が8月と12月の2度にわたり、深刻な状態にまでなっていたようだ」と語った。(東亜日報)>
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