小沢氏は予想通り代表続投の意向を表明した。民主党内には辞任を求める声も出たのだが、党の役員会は代表続投を容認した。
記者会見では涙も見せた小沢氏だが、この段階での続投の意味はどこにあるか。
このテーマでほかの媒体2本の原稿を書いていたため、じっくりと書く時間がないのだが、結論だけいうと、こういうことではないか。
これから総選挙で勝って政権を奪取し、首相になろうとする人が、検察と全面対決ですむわけがない。
検察というのは、いうまでもないが、行政府に属する。行政府の長は首相である。首相と検察が政権発足当初から対決するということは、なんとも考えにくい。
そこで、こう判断したい。
小沢氏はいまの段階で代表を辞めたら、政治生命の危機に直面する。だから、この時点では続投を表明した。
だが、このままいって、民主党の支持低下といった事態になれば、今度は「党の危機を救わなくてはならない」という別次元の辞任理由が生まれる。
もちろん、今回の事件が背景にあるのだが、そこまでいけば、事件のことを直接の理由にするのではなく、「党の危機回避」を前面にだすことが可能になる。
となれば、主導権を握ったまま、代表を辞任することが可能になる。その場合、うまくいけば、後継者を事実上「指名」することもできるかもしれない。
これが「小沢流」というものだ。
いま辞めたら、ずたずたになって、政治生命そのものを失う。上記のようなタイミングなら、影響力を残したまま辞められる。
そうすると、選対本部長といったポストに就くことも可能になる。総選挙を仕切るのは、やはり小沢氏しかいない。
これは、「小沢院政」のはじまりである。
小沢氏の代表続投で、麻生首相は喜んでいてはいけない。こういう深謀遠慮が働いているのだとすれば、小沢氏が一気に岡田克也氏あたりに「禅譲」し、民主党のイメージ転換をはかるというシナリオが現実化する可能性なしとしない。
この勝負、これからが本番だ。
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