3101 ゴールドをめぐる異変 宮崎正弘

金価格は五年以内に一オンス=2500ドルを超えるとUBS。ヘッジファンドが金買い出動、金貨製造業は製造設備拡大。
異変が金(ゴールド)をめぐって起きている。正確に言えば異変が継続拡大している。不気味な地響きが聞こえる。
 米国は金融安定化法で8000億ドル、経済安定化法で7000億ドル、ほかにAIG救済、GM救済策などを含めると、来年までに赤字国債を2兆ドル発行する計算になる。従来は中国、日本、イギリス、産油国などが米国債権を購入してきた。
入札は毎月一回、プリイマリー・ディーラーには日本の証券会社も加わって取引は旺盛だった。米国債権は主に外国勢が買った。
昨今、この入札は月に一度から毎週行われており、外国が買わない分をFRBが引き受け、いずれ2兆ドルが消化できなくなると金利が暴騰するだろう。
ドル・レートは再び暴落に見舞われるだろう。
ジンバブエでは「ムワナ・ゴールド」社(ロンドン上場)が持つブレダ・レベカ金鉱を、同国政情不安のため昨年九月に閉鎖していたが、近く再開すると発表した(フィナンシャルタイムズ、3月30日)。
世界のマーケットから金貨幣が品不足に陥っており、カナダで世界最大の金貨製造「バリク・ゴールド」社も増産に踏み切る。
機を見るに敏なヘッジファンド筋、なかでも「グリーン・キャピタル」社は金鉱への投資拡大に動き、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーのエコノミストらは、「年内に金価格は一オンス=1000ドルを突破するだろう」と予測した。
スイスの最大手「ユニオン・バンク・オブ・スイスランド」(UBS)は、「米国の赤字拡大と消化不能は明らか、いずれ為替がバランスを失い、デフレギャップを埋める投資行動が本格化すると、金価格は五年以内に一オンス=2500ドルに近づくであろう」と予測している(フィナンシャルタイムズ、3月10日)。
ゴールドをめぐる異変は今後まだまだ続く。
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