今朝、いつものように新聞各紙をチェックしていたところ、毎日、読売の両紙に、民主党の菅直人代表代行が3月20日、小沢代表に辞任を促していたという記事が出ていました。毎日によると、小沢氏、鳩山由紀夫幹事長、菅氏の3人で会食した際に、菅氏が「いったん世論の批判を浴びたら流れは変えられませんよ。選対本部長をやったらどうですか。党内で立場を確保する形で辞めたらいいと思います」と提案したとのことです。ふーん、選対本部長ねえ。昨年の参院選こそ勝ったものの、小沢氏が選挙に強いというのは実は神話に過ぎず、けっこう負けているんですが…。
ともあれ、小沢氏の去就については現在、当面は続投するものの、いずれ機を見て最も効果的なタイミングで代表を辞任するだろうという見方が多いですね。私も常識的に考えればそうだろうと思うのですが、何がどうであろうと自分が絶対的に正しく、一切非を認めないという小沢氏のこれまでのやり方、生き方を思うと、このまま居座り続ける気ではないかという気もしないではありません。さて、どうなるか。
というわけで本日は、昨年11月からだらだら続けてきた小沢言行録シリーズの「最終回」をお届けします。もう、このころになると、私自身が過去エントリで詳細に記していることも多いし、訪問者のみなさんご記憶にも新しいところでしょうから、「その二十」と区切りのいいところでいったん幕を引くことにします。もちろん、これからも小沢氏が変なことを言い出した場合には、随時、エントリで取り上げるつもりです。それではどうぞ。
・平成19年11月29日、日経夕刊、民主党代表、テレビ朝日番組で政権交代によって首相になる可能性について「党代表を務めている限りはそうせざるを得ない。肉体的には大丈夫」=小沢氏については以前から、衆院選に勝っても首相にはならず、黒幕に徹するだろうという人が多いのですよね。でも、ここでも首相になると明言しています。まあ、西松建設の件で、もう首相の目はなくなったとは思いますが、もともとはやる気満々だったのだろうと私は見ています。この番組ではまた、昭和44年12月の衆院初当選直後に甲状腺がんにかかっていたことを告白し、ちょと話題になりました。
・平成20年1月17日、産経、民主党代表、記者会見で、11日の衆院本会議で国会の焦点となっていた新テロ対策特別措置法の再議決の採決に加わらず、途中退席したことについて「前から大阪府知事選の応援に行くと約束していた。選挙での約束は一番、違えてはいけない。あの本案は国民にとり大事な法案ではないし、本会議の結果は目に見えていた。党首の活動については自分なりの優先順位を決めて判断している。批判はよく分からない。国民は理解してくれている。首相や国務大臣もすべての本会議に出席していないのに、野党の私だと批判するのか」=この発言については、私の20年1月18日のエントリ「民主・小沢代表の『謝罪しない』会見全文(関連部分)」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/453007/)で取り上げていますのが、関心のある方はどうぞ。この小沢氏の退席については、鳩山幹事長も「反省しなければならない。間違ったことは間違ったと、きちんと謝る心は必要だ」と指摘していましたが、当の小沢氏はというと「鳩山幹事長が何を言ったのか、それは分かりません」ですからね。傍若無人これに極まれり、です。私も国民の一人ですが、この人に分かったようなことを言ってほしくありません。
・平成20年1月19日、朝日、民主党代表、韓国の李明博次期大統領の特使として来日した李相得国会副議長と会談し、在日韓国人への地方参政権付与について「個人的にも昔から賛成で、早くやるべきだ。我々がまとめれば公明党を追い込んでいける。そうしたら自民党はどうしようもない」=公明党に露骨に手を突っ込もうとしています。これに関しても、やはり私は20年1月22日のエントリ「外国人参政権・公明幹部『民主案に賛成』を宣言!?」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/458270/)で関連記事を書いていますが、公明党側は簡単に手玉にとられそうでした。ものすごく単純な、分かりやすい反応を示す党ですからね。
・平成20年1月30日、産経、民主党代表、記者会見で、衆院本会議での新テロ対策特別措置法の採決を退席した問題が、大阪府知事選で推薦候補が敗北した原因の一つだと鳩山幹事長に指摘されたことについて「幹事長が何を言ったか知らないが、府知事選に影響したとは思っていない」=はいはい、いつでも常にご自分は正しく、人の言うことなど知ったことではないというわけですね。いつもの小沢氏です。こんな人を今、「一蓮托生だ」として必死に支えようとしている鳩山氏が憐れです。
・平成20年2月22日、毎日、民主党代表、訪韓して李明博次期大統領と会談し、在日韓国人への地方参政権付与について「韓国が先に認めたのに、日本がもたもたしているのは遺憾だ。できるだけ実現するように努力する」=これだけ党代表が前のめりなのに、民主党内で反対意見をきちんと述べる人たちがいて、意見がまとまらなかったことは積極的に評価したいと思います。このころは、福田康夫首相も外国人参政権について「実行するときには実行したい」と前向きな発言をしていて、実際危ないところでした。民主党内の良識派は応援しなければなりません。
・平成20年4月18日、産経、民主党代表、北海道釧路市での講演で、拉致問題について「いくら(日本が)北朝鮮に言っても解決しない。中国は朝鮮半島の現状維持を国策にしており、金正日政権を変えようという気はない」=この言葉は少しまるめられており、元の発言は「解決しっこない」でした。ニュアンスを伝えるためには、元の発言通り載せた方がよかったと思いますが…。これまた20年4月20日のエントリ「民主党・小沢代表の『拉致問題は解決しっこない』発言について」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/548899/)で取り上げているのでよかったらどうぞ。
・平成20年5月28日、産経、民主党代表、記者会見で首相に就任する意思を聞かれて「わが党が衆院でも過半数を得れば、私自身がその責任を負わなくてはいけないのは当たり前だ」=まあ、小沢氏は繰り返し意欲を表明していましたからね。たいていの物事は、裏を読むより素直に聞いた方が正しいと、私は信じています。では、今となってはどうか。この点については、3月24日の公設第1秘書起訴を受けた記者会見で、小沢氏は記者から「政権交代を実現して内閣総理大臣として政権運営にあたる場合にも、検察と戦い、裁判闘争を続けるのか」と質問されました。これに対する小沢氏の答えは「もう何度も言いますように、私が民主党の代表として民主党が過半数を国民、皆さんにいただいたときは、それはその責任を果たすのは当然だと思っております。それから私たちの戦いといっちゃあなんですが、選挙戦の相手は別に検察ではありません。自公政権でございます」というものでした。やっぱり「首相はやる」といいつつ、法廷闘争に関してははぐらかしています。さて…。
「WiLL」5月号で、こうした小沢氏の過去の言動について書いたところ、小沢氏のことを自民党時代からよく知っている自民党津島派(旧田中派)の古株の秘書さんから電話をもらいました。
秘書さんは「あなたの書いていることはまさにその通りなんだけど、思い切ったことを書いたね。特に、小沢氏が自宅近くに買った不動産について、『秘書の給与が安いから秘書の寮にするために』と言った件は許せない。私も小沢氏の秘書は亡くなった人も含めて随分知っているけど、その待遇はひどいものだった。秘書のためというなら、自分名義の不動産など買わずに給与を上げてやればいい。この言葉には本当に腹が立った。あなたのところに小沢サイドから嫌がらせがあるかもしれない。もし何かあったら、できることはするから言ってきてくれ」とのことでした。
今のところ、そんな嫌がらせの類はとりあえず一切ありませんし、この秘書さんに何かをしてもらおうなんて思っていませんが、実にありがたいなあと感じ入った次第です。気にかけてくれる人がいるというのは、うれしいものだと。小沢氏はかつて弊紙のインタビューに応じた際、冗談めかしてではあるものの、弊紙の記事を批判して「政権取ったら産経をつぶすぞ」と言ったこともある人ですしね…。さて、本日昼締め切りのSANKEI EXPRESSのコラムをまだ一行も書いていないので、そっちに取りかからないと。
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