3195 光ファイバーがやってきた 平井修一

川崎市郊外の我が家の前まで「情報スーパーハイウェイ」、すなわち光ファイバーがやってきた。職人さんが電柱に上ってここ2日ほど仕事をしていたから分かるのである。
これでなにか良いことがあるのかと言えば、小生にはほとんど関係ない。基本的にユーチューブなど動画もテレビも見ないからネコに小判だ。120チャンネルTVなんて目の玉が二つしかないのにどうやって見るのだろう。しかし、コンテンツの進化・多彩化・多様化と情報量の圧倒的な増加・速報性は多分世界を変えるのだろう。
この先の未来の国民の脳内風景(思想、思考、嗜好)はどう変わるのか。「右向け右」のようなトップダウン(押し付け)的一律・一方的“大衆共有文化・思潮”は相当薄まってくるだろう。
「個」の領域が主張され、尊重されるかもしれない。「私だけの趣味・デザイン」といったものだ。ポップカルチャー(スシ、カラオケ、マンガ、アニメ、ゲーム、テレビドラマ、音楽、コスプレ、ファッション、オタクなど)が代表的か。
その半面で「個」「孤」を補完するような「絆」「連帯」「共感」「共有」というものが大事にされるだろう。家庭、同好会、ファンクラブ、サークルといったアイデンティティ(帰属場所)を与えてくれる場である。人は一人では生きられない。
「個」と「集団」を行ったり来たり、つまり<PCネット「オン」=ドライな個的・限定的バーチャル空間>と、<PCネット「オフ」=ウェットな集団的リアル人間関係>の間を、ネットの普及した国のネチズンは行ったり来たりの融合的反復往復運動をすることになるだろう。
この運動を制御し方向を与えられそうなコントローラーはコンテンツメーカーのマスコミと、ポータルサイトなどのディストリビューター、プロバイダなどであろう。
ところが情報は自由な流通を求めるから「川の流れのよう」勝手に流れていく。JASRAC(音楽著作権協会)のように制御盤、バルブ、課金システムなどのコントロールシステムをマスコミは作りたくても作れないでいるから、ジョージ・オーウェルが「1984年」で危惧したような全体主義的情報管理社会は創れないだろう。中共はグレートファイアウォールでこれにチャレンジしているが、いずれは綻ぶだろう。「08憲章」運動や「大紀元」「博訊ネット」を見るとすでに綻びだしている。
情報を制するものは世界を征すというが、あらゆる分野で米国一極支配は終わり世界は多極化へ向かいつつある。少なくとも今後の世界では、政治力(外交・軍事力)で見れば米国、欧州、中共、ロシア、インド、日本の順で影響力を発揮するだろう。しかし、米国に取って代わる、あるいは並立するような新たな一極を世界は求めてはいない。
国は国益を基準に国境をとじたり、広く交際を求めたりするが、WTO(世界貿易機関)が象徴するように国境は基本的に緩やかになっている。通商の秩序ある拡大はお互いにメリットをもたらすからだ。
日本が他国より優れているセールスポイントは自動車や電機に代表されるモノづくり(経済インフラ)とポップカルチャー(文化ソフト)だろう。いずれも人々に快適さを与えるもので、一番求められているものである。工場を造ることでその国の雇用の創出も可能だ。我々は世界中へこれらを提供する用意がある。「善の総合商社」だ。
IT、ナノテク、バイオ、エコなどを活用して得意の経済分野で世界に貢献すれば、政治力のなさをカバーして余りある成果=国益を得られるだろう。その意味で日本は民間と政府の二人三脚でできることはいっぱいある。
日本は「世界は究極的には平和と善意を求めている」と思っているが、中共は己のように「世界は腹黒い、侵される前に侵すが勝ち」と思っているから、やることなすことすべてが「悪の総合商社」である。人権無視、環境汚染、著作権侵害、毒入り食品・製品製造、ならず者国家への軍事・経済支援、ミサイルによる恫喝、空母建設によるアジアと西太平洋の実効支配画策である。誰もが眉をひそめるようなものを輸出している。
「情報スーパーハイウェイ」は10年、20年後には世界中へ張りめぐらされているだろう。アジア、アフリカの貧困国や、新疆ウイグル自治区、チベット自治区など中共の奥地も同様である。現在の先進国のようにあらゆる情報が世界中でリアルタイムで共有される。
人間はついに宗教、民族を超えて連帯するようになるのだろうか、それともペルシャ連合、アフリカ連合、アセアン連合などEUのようなゆるやかな連合体がいくつかできるのだろうか。日中韓連合だけはご免であるが、気持ちの良いアジア・オセアニアの国々と連合するのもいいだろう。
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