初のG8農相サミットで食料増産農地への投機を早期監視で合意へ。直後、中国は「食料の海外農地投資には乗り出さない」と眉唾発言。
北イタリアで開催されていた、目立たない国際会議は「G8 農相サミット」。これは初めての試みである。
飢えが世界的規模で深刻に拡大し、昨年は世界の三十ヶ国で食糧暴動が発生した。国連は飢えを減少させることが社会の安定に繋がるとし、G8でも「食糧安保と国家安全保障は直結している。これに環境問題も結びつく」と基調報告があった。
「米国がこのサミットに力を入れた理由は、食料生産の緊急増加がなければ社会不安が拡がるのを懸念しているからだ」(フィナンシャルタイムズ、4月20日)。
2050年に世界の人口は現在の65億人から90億人に増える。食料の増産は極めて重要である。
というわけで韓国やサウジアラビアは外国の土地を借りて農地にかえ、そこで食料を増産するプロジェクトを進める。ヘッジファンドはそうした借農地に派手に投資する。ジンバブエあたりで農地を借りた韓国の食料生産の遣り方が国際非難の俎上にのぼった。
「中国は海外の農地への投機には参加しない。農業への公共投資は重要であるが」とイタリアで開催された冒頭「G8農相サミット」へオブザーバー参加し、その最中に記者会見した。
だが、この発言は眉唾ではないのか?
穀物を日本より多く、米国や中南米から輸入している中国は、国内的には昨秋以来の大寒波、干魃被害に見舞われ、農業の収穫に減産予測がでている。
にも関わらず、国際的はウケを狙っただけの発言がこのところ目立つ。「タイミングを選んでの、この発言、いかにも中国的なソフトパワーである」(フィナンシャル・タイムズ、4月20日付け)
おりしも中国でも三つ目の英字新聞が発行され、話題を呼んでいる。
これまでの中国における英字は、新華社系「チャイナ・ポスト」と「上海ポスト」だけ。この列に「グローバル・タイムズ」が人民日報姉妹版として、北京で“創刊”されたわけで、中味の国営放送的無味乾燥とは別に、ジャーナリズム世界の不況の中での創刊だから、なにかと話題となった。
新聞がばたばたと休刊してゆく中で、新聞創刊というのは一種の快挙でもある。
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3213 初めての試み北イタリア農相サミット 宮崎正弘

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