注目の名古屋市長選で民主党の河村たかし氏が勝った。千葉知事選、秋田知事選で連敗を喫した小沢民主党が、連敗にストップをかけたことになる。これで総選挙に向けて民主党が反転攻勢に出れるか、本格的な勝負はこれからである。
①第一に考えられるのは名古屋市長選の結果、西松建設の違法献金事件以降、かげりが見えた民主党の党勢が回復に向かうか、どうかである。マスコミ各社の全国世論調査がどう出るか。
②第二には名古屋市長選の勝利によって民主党は小沢代表の下で総選挙を迎えるのであろう。しかし、これは同時に西松建設の違法献金事件の疑惑を引きずって、総選挙を戦うことになる。民主党は、あえて苦難の道を選択することになると言っていい。これも全国世論調査を見なければならないが、きわどい勝負になる可能性がある。
③極めて少ない可能性だが、民主党独自の選挙情勢調査の結果、小沢氏が鳩山幹事長を代表に指名し、両院議員総会の議を経て、新しい体制で総選挙に臨む選択がゼロではない。原理・原則主義者の小沢氏が名古屋市長選で勝ちながら、この様な奇手をあえて取ることは、これまでの小沢氏の手法からみて少ないといえるのだが・・・。
④さらには民主党内で小沢代表に対する造反が出るだろうか。総選挙を目前にして党内対立は避けたいという力学が働く気がする。小沢代表の退陣を求める動きは、総選挙後、それも自民党に敗れた時に持ち越されるとみるのが常識的だが・・・。
⑤民主党が反転攻勢に出るためには、世襲制限をマニフェストに掲げて、自民党との対立軸を明確する動きが加速されよう。世襲制限が総選挙の争点になる可能性が濃厚となった。これに対する自民党は明らかに受け身になる。少なくとも世襲議員の選挙区には影響が出そうである。この争点に選挙民とくに浮動票がどう反応するか。
⑥千葉知事選、秋田知事選は農村部を含めた選挙戦だったが、名古屋市長選は大都市部における選挙戦となった。23万票の大差で圧勝した名古屋市長選だったが、河村たかし氏の知名度が大きかった。選挙は”水もの”だから、これで民主党が大都市部で浮動票を掴むきっかけとなるか、名古屋だけの特殊事情で終わるのか、全国的な世論調査の動向をみる必要がある。
⑦解散権を握る麻生首相が解散の時期をどう判断するか。麻生首相は解散の時期について三条件を考えているという。「一」に内閣の支持率が30%以上、「二」に政党支持率で自民党が民主党を10ポイント以上のリード、「三」に総選挙の投票行動の設問で民主党を上回る・・・いずれもハードルが高い条件といえる。この三条件が満たされるまで解散権を行使しないつもりでいるのか。下手をするとズルズルと解散のチャンスを失うことになりかねない。
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