自民党を追われた小澤一郎は、あろうことか野党党首となって自民党苛めに懸命だった。なんだか平手神酒みたいな哀れさも漂っていた。「世が世であれば、殿の招きの月見酒、男平手ともてはやされて・・・それが今じゃやくざ(民主党)の用心棒・・・」
平手神酒を用心棒に雇った「笹川の繁蔵」の血筋の末裔が家人である。繁蔵の兄のそれらしい。なぜかそれに触れられるのが一番の苦手らしい。
小澤と繁蔵を並べるのは失礼だが、何しろ小澤は自ら作った政治資金規正法を甘く見て進退を誤まった。法律を作ったのは自分だから運用にも自信があったのだろうが、そうは行かなかった。
2008年秋、防衛利権に絡んだ秋山直紀の事件で東京地方検察庁に3日にわたって参考人事情聴取を受けた。その時に感じたことだが
政治家やその周辺居住者たる私のような者と、検事との間には大きな隔意がある、ということだった。
早い話が、検事は政治制度の事は知っていても、日本政界事情は全く知らない。小澤の常識となっていることを検事は全く知らない。政治資金の取り扱いについても、小澤は修正申告で済むと考えていたとしても検事は原理主義で押して来るから、修正申告では済まない。
それなのに小澤が「修正申告で済む」「それなのに担当の秘書をいきなり逮捕というのは権力の濫用だ」と喚いた。だが、これは小澤の誤解だった。
政治資金規正法という法律を作った小澤は政治家に都合の良いように解釈して作った心算だが、検事はそんなことなし、原理、原則で解釈したのだ。
しかも逮捕された秘書は検察と妥協してしまった。小澤にとっては全くの誤算だった。おそらく大久保秘書は政界を引退する事を決意した筈である。
世間は小澤を角栄2世と簡単に呼ぶが角栄は拘置所に2度も入ったが小澤は一度ない。拘置所が怖いのだ。けつにガラス棒を突っ込まれるのが怖いのだ。
小澤を慰めに行っているのはあまり居ないだろう。衆議院事務局事務員時代からの側近平野貞夫(前参議院議員)、その女婿で樋高剛前衆院議員ぐらいではないか。いや樋高剛は小澤の秘書だったのに立候補のポスターから小澤の顔を外し始めたというから最近は近付かないかも知れない。
小澤の側近面をしているのは鳩山だが、彼も「俺の後継者は菅ではなくお前」と小澤にいわれてすがっているにすぎない。「東京地検は説明不足」と刑事訴訟法無視の発言をくりかえす理工系バカ丸出しだ。
いま悪夢が小澤を苛んでいる。
<1992年、東京佐川急便から5億円のヤミ献金が発覚(東京佐川急便事件)し、同年8月27日に党副総裁を辞任、事態の収拾を図った。しかし世論の反発が強く10月に衆議院議員を辞職。竹下派会長も辞任した。
裁判で徹底的に戦う事を主張した小沢一郎に対し、梶山静六は略式起訴での決着を主張した。小沢戦略なら論理は一貫しているが長期的な体力が必要で党のイメージダウンも長く続くことになり、梶山戦略は短期で決着がつくように見えた。
しかし、結果的に両者とも世論の動きを読みきれていなかった。信じられないことだが金丸本人は上申書を提出するまで弁護士を立てていなかった。後に担当することになる弁護士は金丸辞任会見をTVで他人事のように見ていたと語っている。
当初の対応を小沢、生原秘書、佐藤守良に任せた結果、時効がかかっていた時期を見誤った。浜田幸一の著書によると、梶山が短期決着で入れ知恵をしたかのごとく記述されているが客観的ではない。結局、対応に小沢、梶山の二股をかけたことにより両者の対立は決定的なものになり、派閥は分裂へと進んでゆく。
東京地検に政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けた。しかし特別捜査部さえ“巨悪”に手を出せなかったことから、地検は世間から凄まじい批判を受ける(「有力政治家には特別に計らう“特別捜査部”だ」とまで揶揄する評もあった)。
また異例ともいえる身内の検察からも批判的な意見が公にでた。刑罰の軽さに批判が大きかったものの前科一犯が確定したため、叙勲を受ける資格を失った。
一方、東京国税局は、金丸信の妻が死亡した際に受け取った遺産に着目、当時の日本債券信用銀行(日債銀)のワリシン(割引金融債)の一部が申告されていない(日債銀内では、金丸を“蟷螂紳士”とコードネームで呼び、申告漏れに協力していた)という事実を突き止めた。
1993年3月6日、東京地検は金丸本人と秘書を任意に呼び出して聴取を行い、同日脱税の容疑で逮捕。後に、自宅へ家宅捜索を行ったところ、数十億の不正蓄財が発覚する。
捜索の中、時価1千万円相当の金塊が発見された。「金丸が訪朝の際、金日成から受領した無刻印のもの」と風評されたが、実際には刻印のあるフォーナイン(金の純度が99.99%と言う意味)であったとされる(村山治『特捜検察VS金融権力』)このフォーナインは「麻原彰晃が上九一色村の本部に隠し持っていた金塊と、刻印番号が接近している」との噂もあった。
これが止めとなって同情論は消え、権威は地に堕ちた。>(「ウィキペディア」)
「金丸は副総裁を辞任したから逮捕され、身を潰した。おれもそうなる」。いまや大逆転で民主党が次期政権を担うことがあっても、その時、総理が小澤だという絵は想像できない。「代表」にしがみつくわけは「逮捕よけ」だけだ。
誇り高く検察をのがれ、喝采を浴びながら凱旋する芝居が描けないだろうか、そればかりを考える日々が小澤の日々だ。
小澤は「民主党の明日を慮り選挙対策本部長に退いて挺身する」と言う道を予想する向きもあるが、それじゃまるで平手神酒。殿の招きの月見酒を渇望しながら惨殺される結末が待っているだけだ。
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3256 平手神酒・小澤一郎 渡部亮次郎

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