GMとクライスラーの再建案、最終段階へ。まるで社会主義的。債務返済をほぼ放棄、債権者がこれをのむか?
クライスラーと全米自動車労組(UAW)は4月26日に会社再建策を巡り、コスト削減などで暫定合意した。退職者の医療保険基金に対してクライスラーが負っている債務の圧縮を主柱に、月末に最終合意に至る模様だという。
UAWはクライスラーと提携を交渉している伊フィアット並びに米政府との間で、労働条件の見直しなどで合意し、ひきつづき、UAWは組合員による投票を実施し、暫定合意内容の承認を目指す。
UAWとの合意により、政府が設定した再建条件達成が可能になりつつある。
王者GMはどうか。
GMは追加リストラ策を発表、政府や労働組合、債権者に対して合計440億ドル(約4兆3000億円)以上の債務圧縮を要求した。簡単に言えば「徳政令」。
債務を株式化し、米国政府と労組がGM株の9割を保有する。社会主義だ。
詳しく中味をみると、債務削減は米政府の緊急融資(154億ドル)とUAW医療保険基金への拠出義務(約200億ドル)を、株式で大半を返済することにして、さらに270億ドルの無担保債務の債権者には額面1000ドルの債権をGMの普通株225株と交換する。こうした措置により440億ドル以上の負債を圧縮しようとするもの。
この異例の事態、すなわち債務削減(徳政令)には債権者の合意が必要。絵に描いた餅に終わる可能性もある。
GM再建を模索するヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は4月27日に記者会見して、主力だったGMのシンボル=「ポンティアック」を来年(2010年)までに廃止、全米47工場のうち、13工場を閉鎖する。これにともない、7000人を解雇するなどの追加リストラ策を発表した。
ディーラーも6200店から3600店に減らす。いよいよ三大巨人のうち、GMとクライスラーの終わりが見えてきた。
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3257 見えてきたGMとクライスラーの終わり 宮崎正弘

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