目下政治家の世襲が問題になり、マスコミを賑わしている。民主党などは三親等以内を排除すると言い出した。自民党では憲法違反云々まで言い出した者がいる。
皆詮無い議論のように思えてならない。政治家は三親等以内でも以外でも構わないから、優れた能力がある人が成ってくれれば何の問題もないと思う。
政治ないしは政治家を家業とする一家では、政治以外のことに疎い人物が出てくる懸念がある。幼い頃から政治の駆け引きを見て育てば、所謂”politician”に育つだけで、”statesman”は生まれてこないと考えている。
総理大臣や国務大臣に相応しい見識と、能力等を立派に備えていてくれれば、世襲でも別段構わないのではないか。現在では「家業以外の人物が出て行きにくいほど世襲が多いこと」を問題視している政治家もいる。だが、私は能力や実際の世の中での経験や知識の有無を問題視したい。
それではいっそのこと、司法試験のように政治家資格試験でもやって国家資格にでもすればどうだろう等と戯けたことまで考えてしまった。しかし、実際のこのような制度が出来れば、どうしたら試験に合格するかということを教える予備校のようなものが出来てしまうのではないかなどと想像を膨らましている。しかも、何ら実社会を知らないものが政治家になれる機会を得てしまうのである。
こういう資格制度の欠陥は、アメリカのMBAがイヤと言うほど見せてくれている。すなわち、大学を出たばかりの「現実の世界」と「実務」を知らない若者を集めて「ケース・スタディー」という名の机上の空論を教え込んで、恰もビジネスの世界を知り尽くしたと信じ込ませるようなことをした結果がどうなったか。
現在のアメリカの破綻を全てがMBAの責任とは言えないが、製造現場も知らないでも製造会社の責任ある地位につける社会システムが何を生んだかを考えれば、政治家資格試験も無意味だなと自問自答したのだった。
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