3269 メキシコはすでに「フェーズ5」ではないか 古沢襄

新型インフルエンザが猛威をふるっているメキシコの死者は152人にのぼり、なお増加が予測されている。WHO内部ではすでに「フェーズ4」の事態ではなく、「フェーズ5」あるいは「フェーズ6」の緊急事態だとする見方が生まれている。
問題なのはメキシコ政府が事態の深刻さを軽視して、対応策が遅れをとっていることにある。重症肺炎の患者」は1995人で、うち1070人は回復したとしているが、軽症者は把握されていない。
死者の数からすると、発症者の数はもっと多いとの指摘がある。テレビではメキシコ市民の多くがマスクを着用しているが、一日に二回、マスクを変えている様子はみえない。それだけ貧しい国柄である。
呼気によってマスクが水気を帯びれば、かえってウイルスの伝播を招くのは、ロンドンの健康保護局の専門家が警告している。
またメキシコは麻薬組織の抗争や経済危機で国家の屋台骨が揺れている。そこへ新型インフルエンザが加われば、深刻な事態となる。国民の生命よりもメキシコ経済の破綻の方をメキシコ政府は懸念しているのかもしれない。
しかし、それは間違っている。世界各国はメキシコに端を発した新型インフルエンザの上陸を阻止するために水際作戦に躍起となっているが、おおもとのメキシコにおけるウイルスの撲滅を図らないことには、効果を発揮できない。
下手をするとメキシコ国内でウイルスが更に毒性を強めることになりかねない。それを防ぐためには、世界各国がメキシコに援助の手を差しのべることではないか。
メキシコ国内での発症者の数が正確に把握できれば、メキシコへの渡航禁止の様な厳しい措置が出るだろうが、同時にウイルス撲滅の物資援助の緊急輸送も行われよう。そういう視点を広げた国会論議が先進国の日本で行われてほしい。
それがメキシコ経済の破綻を救うことにもなる。
<【ジュネーブ澤田克己】新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が世界的に広がっている問題で、感染が疑われるメキシコでの死者は28日、152人に増えた。
感染が確認されたのは新たに英国2人▽イスラエル2人▽ニュージーランド3人。確認例は計7カ国で、アジア・オセアニアや中東に広がった。確認数も増え、米国で51人、スペインで2人など合計92人となった。
英国ではメキシコから帰国後、隔離されていた男女2人の感染を確認。ニュージーランドでは最近メキシコから帰国した同じ学校の生徒、教員のうち3人の感染を確認した。また、最近メキシコからイスラエルに帰国した入院中の男性(26)の感染も確認された。
メキシコ政府によると「重症肺炎の患者」は1995人で、うち1070人は回復した。軽症者は把握されていない模様だ。
また、これまで最初にメキシコ政府が確認できた感染者は、4月13日の南部オアハカ州の女性(既に死亡)としていたが、同2日の東部ベラクルス州の4歳男児(後に回復)がさらに早いという。
一方、韓国政府は28日、メキシコ旅行から帰国した韓国人女性(51)が、感染した疑いがあると発表した。(毎日)>
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