3281 新型インフルで遠のく解散 古沢襄

新型インフルエンザの騒ぎで、国会の早期解散・総選挙は遠のいたと永田町雀が囀っている。早期解散論者だった自民党の古賀選挙対策委員長も模様眺めに転じた。民主党内も選挙が遠のくとあれば、小沢氏の辞任要求で今、騒ぐ必要もあるまい。
国をあげて新型インフルエンザを水際で防止しようとしている。水際を突破されたら、国内でインフルエンザが蔓延するのを防ぐ対応策が必要になる。その時に国会を解散して、政権交代のための選挙で御座ると言っても、国民からソッポを向かれてしまう。
第一、マスクをかけて街頭演説をやっても様にならない。五月解散の可能性は消えて、七月の東京都議選後、八月解散に絞られたと言っていい。九月の任期満了選挙に限りなく近くなる。結果的、解散にのぞむ麻生首相のフリーハンドが狭まることになる。
そう考えると、これから出てくる各社の世論調査も、タイミングがあまり良くない。今は国民の関心は新型インフルエンザに向いていて、政治にはあまり関心がないからである。そこで次の総理には誰が相応しいか、と聞かれれば、舛添要一厚生労働相と出るに決まっている。
それほど舛添氏は八面六臂の活躍をしている。即断即決、テレビにも朝早くから出て、国民に対する呼びかけも怠らない。好感度はナンバー・ワン、参院議員だからと言って総理になれない法律はない。
だからといって、自民党が舛添氏にドーンと負ぶさってよいものだろうか。長期政権からくる制度疲労があちらこちらに出ている。本来なら、この際、下野して党の体質を思い切って転換する時期にきている。
それは別として、新型インフルエンザの登場で政局の流れが少し変わるかもしれない。昨年、麻生政権の誕生を背景にして選挙で国民の信を問う空気が盛り上がった。いざ、解散という時に米国発の経済危機がやってきた。
解散どころではないと、麻生内閣が経済対策に専念することになったが、麻生首相の失言が連発、支持率が急降下するという思ってもみない事態が生まれている。代わって民主党の支持率が上昇、小沢代表が麻生首相を引き離して、次の総理にのぞましい人として人気があがった。
あの時点で選挙をやれば、自民党はゴロ負け、民主党は大勝して小沢首相の誕生となったかもしれない。ところが政界に激震が走る。小沢代表の公設第一秘書が西松建設がらみの疑惑で逮捕、起訴されてしまった。
世論調査で小沢氏の代表辞任を求める声が過半数を越えて、民主党の支持率がジリジリと下がってくる。代わりに麻生首相の人気が回復して、今、選挙をやれば自民党が勝つだろうと言われだした。
僅か一年足らずの間にも、政局の潮の流れは、これだけ激しく変化する。川島正次郎氏が言った「政界の一寸先は闇」なのである。
新型インフルエンザの騒ぎで五月解散・六月総選挙の可能性はなくなったと見ていい。そうなれば八月解散だろう。今から三ヶ月ある。一寸先の闇にどんなハプニングが潜んでいるのだろうか。
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