3349 ソマリア沖で「ピースでボーッとしている人たち」 阿比留瑠比

昨日のことですが、産経新聞に「『反対、でも守って』 ピースボート 海自が護衛 ソマリア沖」という記事が載っていました。ご覧になった人も多いかと思いますが、興味深い内容だったのでここで再掲します。左翼の人たちによく見られる、ご都合主義・自己中心的発想と振る舞いが如実に表れているなあと得心する次第です。
《海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。
海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地のNGO(非政府組織)や学生らと交流を図ることなどを目的としている。
66回目となる今回の船旅は約3カ月半に及ぶ地球一周で、北欧5カ国とフィヨルドを巡るのが目玉。約600人が参加し、4月23日に横浜港を出発後、中国とシンガポールに寄港。ピースボートのホームページには船旅の最新リポートとして、デッキで催されたフルーツパーティーの様子が掲載されている。
ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施を行う旅行会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。
ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(旅行会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。》
でもまあ、それはそれで、きょうの民主党関係の記事は何を書こうかと呻吟しているうちに忘れていたのですが、さきほど届いた安倍元首相のメールマガジンでこの記事が早速、取り上げられていました。
ふむふむと思って読み進めていたところ、とても面白い表現があったので紹介します。安倍氏は、記事を読んでピースボートに激怒してこの一文を書いたそうですが、ありていに言うと吹き出してしまいました。安倍氏は、海上自衛隊の艦船が外国船舶も守ることができるようにする法案の重要性を説いた上で、こう書いています。
《(前略)しかし野党は反対です。社民党も反対ですが、社民党の辻元清美衆院議員が設立したピースボートが海上自衛隊に護衛を依頼していたことが分かりました。
社民党も辻元議員もピースボートも自衛隊の派遣そのものに反対し、自衛隊員を貶める活動を行い隊員の諸君や家族を苦しめてきました。
しかし自分達の船がいざその危険な海域に出たら守ってもらいたいと依頼する。「恥を知れ」と言いたいと思います。
ピースでボーッとしている人たちと思っていましたがあきれました。》
…平和ボケに引っかけたギャグですね。お茶目な人です。さて、民主党代表選に出馬する鳩山幹事長と岡田副代表はさきほど、日本記者クラブ主催の公開討論会で、ともに小沢代表の唱える「国連至上主義」は踏襲しないという趣旨の発言をしました。
ああ、小沢氏が代表辞任を決めてくれて本当によかったなあ、あんなわけの分からない小沢氏の個人的な妄想のたぐいに日本国民が無理矢理、付き合わされる事態が回避できてうれしいと感じた次第です。
ただ、二人のうちどちらが代表になるにしろ、衆院選で勝っても単独過半数に届かないとしたら、社民党と連立を組むことになります。あるいは、単独過半数を得ても、「友党との約束」として連立を組むのかもしれません。
となると、現在の自民党が公明党に政策的に引きずられているように、民主党も社民党の影響を受けざるをえませんね。もともと党内に旧社会党系議員がけっこういるだけに、その懸念はだれも否定できないところだと思います。
あくまで個人的に感想ですが、私は民主党の中の「小沢的なもの」と「社民党的なもの」がずっとイヤでしようがありませんでした。不幸なことに、この二つはときにぴったりと重なりもして、嫌悪感を催させたものでした。
今回の小沢氏の辞任で、前者がどこまで解消されていくのかはある程度、期待を持って(甘いか?)今後の推移を見守りたいと思うのですが、後者はなあ。あるいは今後、より強まるのかそうでもないのか。
先日、政治評論家の屋山太郎氏と話した際、屋山氏は「政権を取ったら、世間の注目・監視もあるし、そんなに飛び跳ねたことはできないものだから、そう心配することはない」と言っていましたが、
私は、どうしても恐怖を覚えてしまいます。社会党を取り込んだ自社さ政権ができた結果、社会党の思想・信条が政府内で一定のオーソライズを得てしまい、その後の歴史認識を縛り、また文部省(当時)が日教組と一体化してその政策を取り入れていったようなことが、再び起きるのかどうか。まあ、あまり先のことを心配ばかりしても仕方がないし、一方の自民党もぱっとしないので、あれこれ考えるだけムダなのかもしれませんけどね。
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