3356 「有権者の声が届いてない」ではいけない 古沢襄

民主党の代表選は予想通り鳩山氏の勝利となったが、民主党を支持する「有権者の声が届いてない」(毎日)が大方の見方であろう。ハラハラしながら見守っていた自民党を喜ばせる皮肉な結果になったと言ってよい。早くも小沢氏との二重権力構造という批判が出ている。
来るべき総選挙では民主党と自民党が接戦を演じるに違いない。国政選挙では党員・支持者の票の上に、無党派の浮動票を如何にして獲得するか、に勝負がかかる。小沢氏の影を背負いながら、あえて苦難の道を選んだ鳩山民主党だが、国民の期待に応える政策を鮮明にする必要がある。
単なる検察批判、官僚批判、マスコミ批判と抵抗戦術だけでは、困難な政治状況を打開する手だてにはならない。民主党政権が描く新しい政治を具体的に訴えることであろう。抵抗戦術だけでは、国民の信頼を得られないことを銘記すべきである。
あえて言うなら激動している国際情勢の中で民主党らしい外交路線を明確にする必要がある。代表選では鳩山氏にも岡田氏にも、それが欠落していた。鳩山一郎氏の民主党が吉田政治に飽き足らない国民の圧倒的な支持を得たのは果敢にして大胆な日ソ外交を唱えて、それを展開したことにある。
<支持者の声が反映された選挙結果だったのか。「親小沢」対「非小沢」とも評された民主党代表選挙の結果は、鳩山由紀夫氏(62)の勝利だった。小沢一郎前代表(66)の執行部で幹事長を務めた鳩山氏。事前の世論調査では小沢色の薄い岡田克也氏(55)への支持が鳩山氏を上回っていただけに、「有権者の意見が届いたとはいえない」とこぼす議員もいた。
投票に先立って行われた鳩山、岡田両氏の演説、討論では、岡田氏が「いろいろなしがらみがあるだろうが、総選挙で勝利するために何をすべきか考えてほしい」と述べ、「脱小沢」を強調した。鳩山氏は雇用や障害者、医療問題などを「友愛」精神で解消するとし、小沢氏との距離を対立軸にすることを避けた。
毎日新聞が代表選前に行った世論調査の支持率は、岡田氏25%に対し鳩山氏は13%。今回は投票権が与えられなかった党員・サポーターも岡田氏支持が多いと言われてもいた。ツルネン・マルテイ参院議員(69)は「サポーターの意見を聞いて岡田氏に入れた。結果は有権者の声が届いたとは言えず、選挙の方法を考える必要があった」と指摘した。
党員・サポーターへの「予備調査」をした岡山2区の津村啓介衆院議員(37)は「支持者数で岡田氏2票、鳩山氏1票と、県選出の国会議員に票を振り分けた。気持ち良い選挙だった」と強調した。
一方、岡田氏を支持する有権者には小沢氏の影響を懸念する意見も目立った。札幌市豊平区、無職、野原浩嗣(こうじ)さん(85)は「(小沢氏と距離を置く)岡田さんならしっかりした党運営ができた」。愛知県蟹江町、会社員、小林淳美さん(61)も「岡田さんなら生まれ変わったという印象が持てたのに」と残念がった。
勝った鳩山氏には実績や安定感を評価する声が集まった。福岡市南区、元高校教師、児玉緑さん(76)は「幹事長として党を支えてきた姿勢を買う」。宮城県大河原町、無職、鈴木勝治さん(80)は「岡田氏は若く、国家を論じるには鳩山氏の方がいい」と話した。【篠原成行、前谷宏、伊澤拓也】
◇都議選関係者「安定」と歓迎
民主党代表選が行われた16日、東京都議選を2カ月後に控えた都議らは、思い思いに結果を受け止めた。
「より安定的に選挙に臨める」。支持者回りの途中で車を止め、カーテレビで代表選を見守った世田谷区の山口拓都議は安心の表情を浮かべた。選挙区には小沢一郎前代表とのポスターを張っているが、早速、鳩山由紀夫新代表とのポスター作りの準備を始めた。
前回都議選時の代表は岡田克也氏。それだけに「複雑」という現職も多い。江東区の大沢昇都議は「地方議員やサポーターにも投票させてほしかった」と残念がった。
一方の自民党は同日午後、渋谷区で都議選必勝総決起大会を開催。高島直樹・都議会自民党幹事長は「誰が代表だろうが、地をはう選挙をするだけ」と強調した。
24日投開票のさいたま市長選。民主県連の支持を受ける新人の前県議(47)は「代表選で注目され、民主への期待感を感じる」と話した。一方、自民県連と公明県本部が推薦する現職(66)の選対本部長は「民主が注目され、小泉旋風のような風が吹くのでは。民主は『政権交代』ばかりを訴えるが、そんなことで市長を選ぶべきではない」と警戒感をあらわにした。【市川明代、江畑佳明、稲田佳代】(毎日)>
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