お隣の韓国や中国からは、日本は危険地帯視されている。大阪の中国領事館は「留学生はしばらく帰国するな」と公告が出た。菌を持ち込んではならぬ、ということなのだろう。韓国の朝鮮日報は写真付きで関西の新型インフルエンザ騒ぎを企画記事で大々的に報じている。
これでは東京に次いで韓国の旅行者にとって人気スポットの神戸、大阪に来る人も激減してしまう。マスクをした日本人が韓国に行くと白い眼で見られることにもなりかねない。
それにしても中国や韓国で新型インフルエンザが広まっていないだのだろうか。キムチを食べているからインフルエンザに罹らないというのは迷信だと思うが、両国ともメキシコ、米国、カナダに旅行する数は日本並み、あるいはそれ以上であろう。
そのうちに日本よりも韓国や中国が、新型インフルエンザの危険地帯視される様になるのではないか。
<18日朝、神戸市中心部の三宮駅。出勤途中の人たちの9割はマスクを着用していた。マスクを着用していない男性に「不安はないのか」と質問すると、「昨日は1日中薬局を回ったが、マスクはどこも売り切れていた。仕方がないので電車の中ではタオルで口と鼻を覆っていた」と答えた。もちろん、話すときは手で口を覆っていた。
通学路からは生徒たちの姿が、住宅街からは子供や高齢者たちの姿が消えた。神戸市はこの日から22日まで、すべての学校を休校させ、高齢者の外出自粛を呼び掛けた。駅周辺にある薬局の経営者は、「通りを行き交う人の数が大きく減った。わたしも怖い。家に帰りたい」と心境を語った。
この日朝、駅の中にあるコンビニエンスストアと周辺にある三菱東京UFJ銀行の支店で働いていた女性従業員の感染が確認された。問題となった店を含む周辺の八つのコンビニエンスストアは休業し、銀行の支店では共に勤務していた行員70人全員に早退の指示が下った。
神戸市は16日に日本で初めて新型インフルエンザの2次感染者(感染した患者に接触して起こる感染)が確認された地域だ。ある高校では8人の感染が確認され、その後神戸市のある兵庫県や隣の大阪府へと感染は拡大した。この地域は、韓国人が東京に次いで多く訪れる。
両地域で確認された感染者は、この日夜11時30分現在で159人(日本全体では163人)。米国、メキシコ、カナダに次いで感染者数が一気に世界4位となった。
不安が広まったことで「最も活気に満ちた夜の街」といわれる大阪の道頓堀も突然静まりかえった。ある立ち飲み形式の飲み屋で働く従業員は、マスクをして通りを行き交う人を指さしながら、「ああやって歩くときもマスクで口をふさいでいる人たちが、わざわざ飲み屋に立ち寄っておしゃべりするだろうか」と嘆いた。
大阪府では27日まですべての学校を休校措置とし、兵庫県と合わせると、休校になった学校は4000校を超えた。ホテルの予約も相次いでキャンセルされている。化粧品メーカーの資生堂が社員の出張を全面的に取りやめたのをはじめとして、日本の大手企業がこの地域への出張を見合わせているためだ。映画館やショッピングセンターなどでも、普段に比べると30%ほど客足が減少した。結婚式が延期されたケースもある。
大阪府の橋下知事は緊急の記者会見を開き、「(感染の速度が)想像以上に急速なペースで進んでいる。このままでは都市の機能がまひしてしまう」と訴えた。実際に神戸市では、この日朝にも49人の感染者が新たに確認され、「自宅での療養」へと方針を変えた。市内3カ所の病院にある感染者病棟の54のベッドがすべて埋まったからだ。
それでも日本の保健当局は、今も感染経路を確認できていない。最近海外旅行に行ってきたのは感染者の中でわずか一人だ。しかし、日本政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長は麻生太郎首相)は、日本国内での警戒レベルを3へと引き上げる措置を見合わせた。レベル3は感染経路を特定できない場合に宣布されるもので、全国レベルでの対応措置も可能だ。
麻生首相は「政府が外出や集会の自粛、事業活動の縮小を要請することは考えていない。国民の冷静な対応をお願いしたい」と述べただけだ。大阪府知事と兵庫県知事もこの日舛添厚生相に会い、今回問題となっているウイルスの毒性は弱いという点を強調しながら、感染地域での生活に影響を及ぼすような措置は見合わせるよう要請した。
麻生内閣は現在の景気悪化を食い止めるために巨額の財政出動を行っている。このような状況の中で新型インフルエンザによる不安が広まれば、数々の経済対策も効果が大きく薄れてしまうという心配の声が多い。自ら不安を高めるようなことはしない、という姿勢のようだ。
しかし日本政府が新型インフルエンザを空港や港湾で遮断する対策を過信し、自ら災いを招いたとの指摘も相次いでいる。最初の感染者のケースを見ると、11日の時点ですでに症状を訴えていたが、保健当局は「新型インフルエンザは国内に入ってきていない」という前提を過信し、17日まで感染が疑われる患者による外部での活動や他人との接触を放置してきた。(朝鮮日報)>
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