盧武鉉前大統領の死亡は真相は分からないが、各国メデイアはソウルから速報している。韓国の中央日報は「海外メディア、盧前大統領の死亡を緊急報道」と次の様に伝えた。
<AFP通信は聯合ニュースの報道を引用し、「盧前大統領が登山中に山から落ちて病院に運ばれたが、まもなく死亡した」とし「警察が自殺かどうか調べている」と伝えた。
共同通信も聯合ニュースを引用し、「盧前大統領が自殺を図った可能性がある」とし「盧前大統領が最近、不正資金疑惑と関連して検察の調査を受けていた」と伝えた。
AP通信も盧前大統領が山から落ちて死亡したとし、「盧前大統領は在任中に財界人から600万ドル以上を受けた容疑で調査を受けていた」と報じた。
ロイター通信は、昨年初め5年任期を終えた盧前大統領の死亡経緯と関連し「警察が調査中だった」と伝え、中国国営新華社通信も「盧前大統領が死亡したと推定される」と報道した。(中央日報)>
AFPと共同以外は自殺の可能性について触れていないが、中央日報はこれに先だって「盧武鉉前大統領が23日、山から墜落し、死亡した。自殺と推定され、警察が確認している」と速報している。また「21日8時50分ごろ、烽下(ボンハ)村の山から落ちて死亡した盧武鉉前大統領が遺書を残していたことが確認された」とも報じた。
いずれにせよ韓国政界に与えた影響は大きい。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は正確な死亡経緯を把握するため慌しい動をみせているという。公式発表もなされていない。李明博大統領は正確な死亡経緯の把握を指示し、今日の公式日程をすべて取り消したという。
親北路線で突き進んだ盧武鉉前大統領の死と重なるように、北朝鮮にあって韓国との協力事業を推進した崔承哲氏が処刑されていたことが最近明らかになった。二つの事件が関係あるとは思わないが、北との融和政策の美名に隠れたカネにまつわる闇の部分は、盧武鉉氏の死によって永久に封印されることになったのではないか。
日本のメデイアでは韓国報道で定評のある産経新聞が、過去の経緯を含めて詳しく報道している。
<23日早朝、自殺したとみられる盧武鉉前大統領は、在任中の600万ドル(約5億7000万円)に上る不正供与資金疑惑の渦中にあり、近日は新たに家族の金品授受の事実が明らかになるなど、「清潔と庶民派」のイメージは地に落ち、国民的な失望を一身に受けていた。
韓国検察当局は先月末、盧前大統領を収賄容疑の被疑者として事情聴取、前大統領は否認していたが、当局に出頭する前に前大統領は国民に向け頭を垂れ、「国民のみなさんに面目ない。申し訳ない」と謝罪した。一連の疑惑で前大統領は在宅起訴とみられ、妻や家族、秘書官らが連座する公算が大きくなっていた。
大統領退任後、盧氏は政界での影響力拡大を狙っていたとされる前大統領だが、疑惑拡大で自身の政治生命が断たれただけでなく、これまで率いてきた左翼・革新勢力に多大な影響が広がっていた。
盧武鉉氏は韓国慶尚南道の貧しい農家出身で高卒だが、司法試験に挑戦して弁護士となり、70年後半から人権派弁護士としてならし弱者保護や福祉重視などを売り物として政界入りした人物。80年代には全斗煥元大統領の不正蓄財事件を聴聞会で追及し、これがテレビ中継されて国民的なスターになっただけに、「カネにきれいな盧武鉉政権」が前大統領のキャッチフレーズだった。
革新政権、金大中政権の後継者として大統領候補となり、保守の腐敗を追及するとともに在韓国米軍による女子中学生轢死(れきし)事件で盛り上がった反米運動に後押しされ、80年代の学生運動世代の圧倒的な支持を受けて第16代韓国大統領に当選した。現職時代、内政では「歴史の清算」を政策の柱としで過去の人権弾圧の洗い直しや日本植民地時代の親日派などに熱心だった。だが、これにより小泉純一郎首相(当時)との歴史認識問題が拡大、日韓関係は冷え込んだ。
また、南北関係では経済支援を中心親北路線を強め、金正日総書記との南北首脳会談を実現した。だが、自主外交を主張し、対北政策でも不協和音が絶えなかった日米韓にはすきま風が吹いた。
韓国国民は、盧政権に庶民の味方を期待した。しかし理念先行が目立ち経済政策も失敗するなど支持率は低下の一途となり、これが韓国で10年ぶりの保革逆転となった現李明博政権誕生の要因となった。(産経 久保田るり子)>
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3376 突然の盧武鉉前大統領の死亡 古沢襄

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