3394 日本の抑止力は万全か 花岡信昭

北朝鮮がまたまたやってくれた。どこまでも瀬戸際作戦を展開していく気なのだろう。
で、朝鮮中央通信によれば、「自衛的抑止力をあらゆる面から強化するための一環」としての核実験なのだという。
ミサイル発射の技術水準もだいぶ上がってきたようだから、これからはミサイルに搭載できる核弾頭を持てるかどうかが勝負だ。あるいはすでに小型核弾頭を持っているのかもしれない。
さあ、日本はどうする。国連安保理の緊急招集は当然だとして、ここでがつんと北朝鮮制裁決議を打ち出せるかどうか、そこまでの国際政治のパワーを持ちうるかどうかが試される。
ざっくりとした言い方になるが、非核4原則(持たず、つくらず、持ち込ませず、議論せず)のままでは、相手になめられるだけだ。
まず独自核武装論を議論するぐらいは進めていかないと、抑止力にはならない。
それになによりも政府がやらなくてはいけないことは、北に対する日本の脅威の水準がこの核実験によって、どうなったのか、国民に分かりやすく説明することだ。
向こうは「自衛的抑止力の強化」を核実験の理由にしている。成功したのだから、「自衛的抑止力」は強化されたことになる。ならば、日本の「自衛的抑止力」は相対的に低下したということにならないか。
いうまでもないが、日本は「アメリカの核のカサ」によって、抑止力の軸を形成している。このところ、本当にそれが機能しているのかどうか、疑わしいところもある。
だいたいが、沖縄の基地再編問題がいっこうに進展しないようでは、アメリカ側に日本を守ろうという気が薄れていくのも当然と言えば当然だ。
日米同盟は本当に機能しているのか。日本の隣にいよいよ本格的な核保有国が登場しつつあるというのに、これまでと同様の認識ですむのかどうか。
そこのところの説明が決定的に欠けている。脅威のレベルが上がったと判断するのであれば、それに対応する手段を考えなくてはいけない。
 
「被爆国として許せない」などという情緒的な反応は何の役にも立たないのだ。
<<さいたま市長選をどう見る>>
民主党は鳩山新体制になって初の大型選挙に勝った、と大喜びだ。それはおめでとうといわなくてはならないが、選挙戦の実態を見ると、これは地元の自民、公明の「不手際」としかいいようがない。
さいたま市長選の結果は下記の通り。
当155966 清水 勇人=無新
  98816 相川 宗一=無現
  62991 中森 福代=無新
  32249 日下部伸三=無新
  27448 松下  裕=無新[共]
  26397 高橋 秀明=無新
清水氏は47歳の前県議。民主党埼玉県連が支持した。相川氏は66歳の現職。自民県連、公明県本部が推薦した。旧浦和市長時代を含めて連続5期つとめたというから、これは多選批判が起きないと思う方がおかしい。
中森氏は前自民党衆院議員だ。完全な保守分裂選挙となった。相川、中森両氏の票を足せば、清水氏を追い抜く。
こういう選挙にしてしまった自民、公明両党の判断ミスだ。調整能力の欠落といっていいかもしれない。
この結果によって、「さいたまから政権交代を」と民主党は勢いづいている。鳩山新代表にとって、願ってもない祝砲となった。
これだから選挙はおそろしい。「鳩山体制になって初の大型選挙で民主系が勝った」ということだけが独り歩きする。実態がどうだったかは、もうどうでもよくなってしまう。
ある種の「錯覚」がまかり通って、これが「ホンモノ」になってしまう。
それにしても、5期つとめた66歳市長が47歳に勝つと判断したのであれば、その錯誤はこれまた深刻だ。自民、公明に猛省を促す「事件」といっていい。
つまり、いったい何が問われているのか、そこを直視できない体質だ。これは埼玉に限ったことではない。
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