ここにきてヒラリー・クリントン米国務長官の北朝鮮に対する強硬な態度が目立っている。その裏にはクリントン元大統領の影がちらつく。1994年・・・クリントン元大統領は北朝鮮政策で苦い経験を味わった。
このあたりはドン・オーバードーファーの傑作「二つのコリア(THE TWO KOREAS)」に詳しい。
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1994年、日本は政治改革を旗印にした細川政権、羽田政権と目まぐるしく国内政局が動いたが、この時に北朝鮮情勢をめぐって米朝関係は一触即発の状態にあった。
日本海に米第7艦隊が百隻近く集結したことを羽田首相は知らないでいた。
北朝鮮の核計画を阻止する米朝交渉は暗礁に乗り上げ、韓国政府は戦争に備えて大規模な民間防衛訓練を実施すると発表している。ソウル株式市場の株価は二日間で25%も下落。(「二つのコリア」)
ペリー国防長官はクリントン大統領に「全面戦争になった場合、死者は百万人、米国人も八万から十万人が死亡、米国が負担する軍事費用は1000億ドル」と報告している。ワシントンとソウルが緊張状態にあった時に東京はまったくのツンボ桟敷。
カーター訪朝が実現しなかったら、日本は第二次朝鮮戦争に巻き込まれていたかもしれない。
だが、クリントン大統領にとってカーター訪朝は望ましいものではなかった。第二次朝鮮戦争も辞さないという強い態度をみせることによって、核開発に走る金日成から妥協を引き出そうという米国なりの瀬戸際外交を演じていた。
その横合いからカーターは徒歩で38度線をCNNのカメラクルーを率いて北朝鮮入りして、カーター・金日成会談に応じた。金日成はカーターに招待状を発していたのである。金日成にとってカーターは危機回避の切り札だった。
ホワイトハウスでクリントン大統領を囲んで、ペリー国防長官が徐々に部隊を増強するオプションの説明をしていた。これは国務省とも競技済みの対北朝鮮政策で、金日成から妥協を引き出す最善の策とみられていた。
そこへカーター・金日成会談の一報が飛び込んできた。カーターは平壌からホワイトハウスに電話を入れている。「CNNの生中継を見てくれ」とカーターの声は興奮を隠さなかった。
閣議室は「こうした出過ぎたまねは、クリントン政権をコケにするものではないか」「カーターの行動は裏切りに近い」という怒りの声で渦巻いた。しかし、すべては後の祭りとなってしまった。
おまけにカーターは金日成に国連の安保理での経済・政治制裁は中止したと誤って伝えてしまっている。これは米マスコミから批判を浴びる。
カーターは金日成との会談を”奇跡”とCNNテレビの前で自画自賛している。世界の眼はクリントンからカーターの快挙に釘付けとなっている。意気揚々と帰国したカーターはホワイトハウスを訪問して、平壌での成果をクリントン大統領に報告しようとしたが、クリントン大統領はカーターとは会おうとしなかった。
その一ヶ月後に金日成は死去している。
<クリントン米国務長官は20日、北朝鮮が6カ国協議に復帰し、約束した非核化義務を履行しない限り、同国に対する金銭的支援を行わないとの立場を明確にするなど、連日強硬な姿勢を見せている。
クリントン国務長官は国務省の2010年度予算案を審議する上院歳出委員会で、北朝鮮の核無能力化作業に備えた9800万ドル(約92億5000万円)の対北朝鮮経済支援予算に関する質問を受けた。
共和党のブラウンバック上院議員(カンザス州選出)が「予算が北朝鮮を交渉の場に復帰させるわいろとして使われないようにすべきだ」と求めたのに対し、クリントン国務長官は「全面的にその通りだという点を改めて明らかにする」と答えた。国務省の対北朝鮮経済支援予算はあくまで北朝鮮が行動を改め、合意を履行する場合に備えたものだとの説明だ。
クリントン国務長官は米国の外交・安全保障政策を説明した19日の外信記者会見でも冒頭発言で、米国が特に注意すべき問題としてパキスタン、アフガニスタン、イラクなど中東地域の平和問題を挙げ、北朝鮮を故意に無視する態度を取った。
中国やロシアとの建設的な関係構築にも言及した。ブッシュ政権で北朝鮮と共に「悪の枢軸」と呼ばれたイランについても「新たなアプローチを行っている」と語った。しかし、北朝鮮については何も言及しなかった。
北朝鮮に強硬な立場を取ったり、北朝鮮を無視したりする態度は国務省全体にも広がっている。国務省高官は19日、タイで7月に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で米朝会談を行う計画は全くないと言い切った。
同高官は米政府系の自由アジア放送(RFA)に対し、「特に閣僚級の会談は検討もしていない」と語った。これまで米朝はARFを接触の機会としてきたが、国務省高官が閣僚級の会談はないと明言したのは異例だ。
国務省周辺では、クリントン国務長官がブッシュ政権の外交政策を批判し、新たなアプローチを見せているにもかかわらず、北朝鮮が敵対的な姿勢ばかり見せていることに対する不満が聞かれる。最近はイスラム原理主義のテロ集団タリバンがアフガニスタン、パキスタンで勢力を強め、北朝鮮問題は自然と政策優先順位が下がっているとの見方が強い。
オバマ政権周辺では、クリントン国務長官の姿勢を支持する人物が少なくない。すべての対話を拒む北朝鮮に善意を求めるような政策はやめるべきだ、との声の高まりと軌を一にしている。
しかし、クリントン国務長官が北朝鮮の6カ国協議への復帰可能性を「ありそうにない」と表現し、強硬な反応を見せていることには批判的な見方もある。
匿名の専門家は「北朝鮮の過ちは明らかだが、そんな時だからこそ、クリントン国務長官には忍耐強い対応が求められている」と指摘した。(朝鮮日報)>
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3395 強硬なクリントン米国務長官 古沢襄
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