3396 瀬戸際外交の則を越えた 古沢襄

暴走気味の北朝鮮の地下核実験とミサイル発射だが、軍部強硬派が北朝鮮の権力構造で突出してきたという解釈は分かるとしても、金正日の長男・金正男を支持していると伝えられる実力者・張成沢が積極的に加担しているとは思い難い。
同じ瀬戸際外交でも、中国やロシアの不興を買うドラステックな行動に走ったのは、張成沢のこれまでの路線からは、唐突な感じを受ける。
ソウル情報では地下核実験までの一時間足らずではあるが、米国と中国には事前通報をしたと伝えられている。また韓国に対しては、盧武鉉前大統領の死を悼んで弔問団を送るサインを出している。チクハグな感じすら与える。
それにもかかわらず米国と中国、韓国は一致して国連安全保障理事会の新たな制裁決議が必要だとの認識で一致した。前回の安全保障理事会では、中国とロシアの常任理事国が制裁決議には反対し、議長声明で落着したのとは様変わりしている。今回はロシアも制裁決議には同調している。
制裁決議の内容にもよるが、あえて国際的な孤立を覚悟して地下核実験を唐突に行った北朝鮮の意図がいまひとつ見えてこない。しかもミサイル発射を連続して実施する気配がみえる。
すでに瀬戸際外交の則を越えたと言ってよい。行き着く先は国連からの脱退という観測すら生まれている。
三男・金正雲を支持する若手軍人の強硬派が張成沢体制に反旗をひるがえして、権力奪取に成功したのであろうか。読みづらい北朝鮮情勢となっている。
<麻生太郎首相は26日午前、オバマ米大統領と電話会談し、北朝鮮の再核実験に対しては国連安全保障理事会の新たな制裁決議が必要だとの認識で一致し、採択に向け中国、ロシアなど関係国への働き掛けを強める方針を確認した。
首相は26日中にも、中ロ両国首脳と電話会談する方向で調整している。政府高官は新決議に関し「今回は制裁に慎重な中国も同調せざるを得ないのではないか」と指摘。(共同)>
<【ソウル大澤文護】韓国の聯合ニュースは25日、北朝鮮が核実験の実施について中国に事前通報したとみられると報じた。また、ロイター通信は米当局者の話として、北朝鮮が米国にも事前通報していたと報じた。実験まで1時間足らずで、その際にいかなる要求もなかったという。
一方、核実験後の25日正午過ぎに北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンプクド)花台(ファデ)郡舞水端里(ムスダンリ)付近から1発、午後5時過ぎに江原道(カンウォンド)元山(ウォンサン)付近から2発の短距離ミサイルが発射された。韓国メディアが報じた。地対空ミサイルで、専門家からは「米軍偵察機などをけん制する目的」との見方が出ている。(毎日)>
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