3414 政局の焦点は解散・総選挙の時期 古沢襄

2009年度補正予算が成立したことによって、政局の焦点は解散・総選挙の時期に絞られた。大手マスコミ各社は八月総選挙を一斉に予測している。
この中で毎日新聞が戦後最大の補正予算を組むなど経済対策の手を打ちながら、麻生内閣の支持率が低迷している現状をとらえて、自民党内に深刻な危機感が生まれていると分析した。やはり麻生首相では戦えない」と党内に募る徒労感は、再び首相批判へと向かっている・・・とした。
しかし麻生首相に代わる人材が党内には見当たらない。鳩山代表になって勢いづく民主党に較べて、自民党にとって苦難の総選挙を迎えることになりそうだ。
<09年度補正予算が29日、成立した。これを受け、麻生太郎首相は衆院解散・総選挙の時期について検討を本格化させた。首相は7月8日からの主要国首脳会議(サミット、10日まで)前の解散も視野に8月上旬の衆院選を模索する。
7月12日の東京都議選との同日選は見送る方向だが、7月下旬あるいは8月末の投票は選択肢として残る。政権選択が懸かる戦いに向け、与野党攻防が激化する。(共同)>
<09年度補正予算が29日成立し、今国会の最大の焦点は衆院解散・総選挙の時期をめぐる与野党攻防に移った。麻生太郎首相は過去最大規模の補正予算成立をバネに政局の主導権を握る構えだったが、民主党の代表交代を機に与野党の攻守は逆転。
衆院議員の任期満了を迎える9月10日まで100日余りとなる中、政権浮揚の切り札は見当たらず、与党内には「展望なき解散先送り」に危機感が募っている。【中村篤志、白戸圭一】
自民党の細田博之幹事長は29日夕、国会内で記者団に対し、補正予算の成立について「景気対策として、迅速な処理が必要な実態があり、極めて喜ばしい」と評価した。公明党の太田昭宏代表も、国会内で「景気・経済へのてこ入れがしっかりできる」と述べ、補正の景気浮揚効果を強調した。
こうした「公式見解」に反し、自民党で高まるのは「補正予算の発信力が足りない」(谷川秀善参院幹事長)とのいら立ちだ。29日の党総務会では、津島雄二党税調会長が「『補正は無駄』という野党の主張の方が、国民に浸透している。細田幹事長から、政府にもっとPRするよう申し入れてほしい」と注文をつけた。
政府・与党は今国会会期を大幅に延長し、補正関連法案や海賊対処法案など重要法案の成立に全力を挙げる構え。自民党の菅義偉選対副委員長は29日夜、東京都内のホテルで麻生首相と会食し「(選挙までの期間が)長ければ長いほど、支持率も上がる」と、衆院解散をできるだけ先送りするよう進言した。
ただ、延長国会で法案成立を重ねても、政権への風向きが変わる保証はない。「後になるほど、状況が悪くなる」(若手)との見方もあり、解散戦略を描けないのが実情だ。
29日夕、河野洋平議長が補正成立を宣告した衆院本会議場の与党席に高揚感はなく、自民党若手は同僚議員と「任期満了日の衆院解散で、10月選挙しかない」など悲観的な会話を交わした。「あれだけ経済対策を重ねたのに、なぜ内閣支持率が上がらないのか。やはり麻生首相では戦えない」。党内に募る徒労感は、再び首相批判へと向かっている。
◇民主、解散追い込み狙う
民主党は09年度補正予算成立を受け「重要法案はほとんどなくなった。早く衆院を解散して国民に信を問おう」(鳩山由紀夫代表)と攻勢を強めている。衆院で審議中の補正予算関連法案についても意図的な審議引き延ばしをしない方針を強調。法案処理を進めることで与党が大幅延長を決めた後半国会に「政治的空白」を作り出し、早期の衆院解散・総選挙に追い込む構え。小沢一郎前代表の秘書逮捕で失いかけた党勢の回復に自信を深めている。
「補正関連法案は、上がらなくても予算が実施できる仕組みに政府が細工している。何でそんなに長い会期延長が必要なのか」。小沢一郎代表代行は29日、長崎県諫早市内で記者団に語り、「結局、サミット(主要国首脳会議)出席まで延ばすというだけの話か」と切り捨てた。岡田克也幹事長も同日の記者会見で「延長して何を議論するのか分からないまま、日にちの議論が先行しているのは極めて遺憾」と批判した。
鳩山新体制発足で世論の支持を回復し勢いづく党内には、多数を握る参院で麻生首相の問責決議案を提出すべきだとの声もあがり始めた。鳩山氏は29日、国会内で記者団に「国対委員長、幹事長に判断を委ねたい」と決議案提出の可能性に含みを残した。(毎日)>
<政府・与党は28日、09年度補正予算関連法案などを確実に成立させるため、6月3日に会期末を迎える通常国会を8月上旬まで60日間以上、大幅延長する方向で最終調整に入った。6月1日の自公党首会談で正式決定する。与党内ではこれを受け、総選挙の投開票日は8月以降にずれ込むとの見方が強まっている。
参院の自民、民主両党は28日、09年度補正予算案を29日の参院本会議で採決することで合意したため、同日中の成立が確実になった。税制改正法案は今月13日に衆院を通過、遅くても7月12日以降に衆院で再可決できる。首相が早期成立を指示した海賊対処法案などの重要法案も6月下旬までに成立することが確実だ。
一方、政策投資銀行法改正案などの補正関連法案については、与党は来週以降に衆院を通過させる方針だ。「60日ルール」を考慮すると、確実に成立させるには8月上旬までかかる。通常国会は1回しか延長できないため、余裕を持って8月上旬まで大幅に延長することにした。
ただ、補正予算と重要法案さえ成立させれば、残りの補正関連法案の成立に固執して衆院解散の好機を逃すべきではないとの声が与党には強く、「東京都議選(7月12日投開票)後の解散、8月の総選挙」の日程が有力視されている。解散をさらに先送りする選択肢を残しておくため、国会会期を8月上旬より先まで延長する案もあり、最終調整が続いている。(朝日)
<2009年度補正予算は29日、参院本会議で野党の反対多数で否決された後、憲法の衆院優越規定に基づいて成立した。補正予算の一般会計総額は過去最大の13兆9256億円。政府・与党は6月3日までの通常国会の会期について、補正予算関連法案などの成立を確実にするとの理由で、少なくとも8月上旬まで60日間以上延長する方向で最終調整に入った。
8月8日まで66日間とする案が出ている。次期衆院選の投開票日は8月以降になる公算が大きくなっている。
麻生首相は29日、衆院解散の時期について、「(補正)関連法案が通らないと(予算の)執行の点で色々支障が出る」と述べ、補正関連法案の成立後とする考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長らは29日、国会の延長幅について協議し、補正関連法案や海賊対処法案など重要法案の確実な成立を期すため、会期を60日間以上延長する必要があるとの認識で一致した。
6月1日に首相と太田公明党代表が会談して具体的な延長日数を決める。補正関連法案のうち税制関連法案は5月13日に衆院を通過しており、日本政策投資銀行法改正案など4法案は民主党も賛成して来週後半に衆院を通過する見込みだ。
与党内では、民主党が参院審議に時間をかける可能性もあり、通常国会の会期延長は1回しかできないという点を理由に、調整していた45日間の延長幅ではなく、参院が否決したとみなせる憲法の「60日ルール」の期間を見込んだ延長幅をとるべきだとする声が強まっている。
ただ、補正関連6法案のうち、29日には民主党も賛成して1法案が衆院の委員会で可決、3法案は与党と民主党との修正協議がまとまりつつある状況のため、補正関連法案を理由とした大幅延長は説得力を欠くとの指摘が出ている。むしろ、衆院解散・総選挙の時期選択の自由度を確保するためとの見方が専らで、任期満了間際の8月末まで延長する案も浮上している。
首相が7月8~10日の主要国首脳会議(サミット)前後に衆院解散に踏み切れば、衆院選の投開票日は8月2日か9日が有力で、解散がずれ込んだ場合は、投開票日は8月30日か、9月6日が想定されている。(読売)
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