北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射実験を、既に何回も使用した舞水端里の試験場ではなく、まだ完成していない東倉里の試験場を使おうとしている理由は何か・・・北朝鮮ウオッチャーの間で様々な憶測、議論が為されている。
お隣の韓国でも同様で、朝鮮日報によれば次の様な見方がある。
①寧辺の核施設から新設の東倉里の試験場までわずか70キロ余りの距離しかない。核爆弾が小型化されたら、ミサイルまで運ぶ距離が問題になる。舞水端里では遠すぎる。偵察衛星で発見され、運搬途中で攻撃される危険性がある。
②舞水端里の試験場に比べて、東倉里はるかに現代化されている。ミサイル発射までの時間および危険の負担を減らすことができる。東倉里の試験場は、自動化されたミサイル・ロケット追跡および制御施設、液体燃料供給装置などを備えている。
③北朝鮮が急いだ場合、東倉里なら今月16日の韓米首脳会談の前後に発射が可能になると見ている。しかし、間に合わないとなれば、7月4日の米国独立記念日前後に照準を定めるのではないか。
<北朝鮮が「テポドン2号」もしくはその改良型と推定される大陸間弾道ミサイル(ICBM)を、今年4月に長距離ミサイルに転用可能なロケットが打ち上げられた咸鏡北道花台郡舞水端里ではなく、平安北道鉄山郡東倉里の新ミサイル試験場に移送したことが確認された。これにより、その背景に関心が集まっている。
韓国政府の消息通は1日、「先週末、長距離ミサイルを載せた列車が平壌市山陰洞のミサイル研究所から東倉里の試験場に到着し、現在ミサイルは試験場内の大型組立棟内に収められている状態だと見られる」と語った。ミサイルは組立棟内で1-2週間かけて2段目・3段目を組み立てた後、垂直発射台に取り付けられるものと予想されている。
情報当局は、東倉里試験場がまだ完成していない状態で北朝鮮がICBMを移送したことに特に注目している。情報消息通は、「東倉里の試験場はこのところ急ピッチで工事が進められ、現在は全工程の90%水準まで達していると見られるが、発射台やエンジン燃焼試験場などを除き、基盤施設の工事は完全には終わっていない」と語った。エンジン燃焼試験場の場合、昨年5-6月にテポドン2号用と見られるエンジンの燃焼試験が行われるなど、部分的に稼動してきた。
北朝鮮が既に何回も使用した舞水端里の試験場ではなく、まだ完成していない東倉里の試験場を使おうとしている理由は何か。まず、舞水端里の試験場に比べはるかに現代化されているため、時間および危険の負担を減らすことができる、という点が挙げられる。東倉里の試験場は、自動化されたミサイル・ロケット追跡および制御施設、液体燃料供給装置などを備えていることが分かっている。
舞水端里の試験場は、昨年自動化された燃料供給装置などを除くとほとんどすべての施設が手動式で、ミサイルを発射台に取り付けて発射するまでに2-3週間かかる。一部の専門家は、北朝鮮が急いだ場合、今月16日の韓米首脳会談の前後に発射が可能になると見ている。反面、発射準備にはもう少し時間が必要で、今年7月4日の米国独立記念日前後にようやく発射が可能になる、という見解も少なくない。
また、垂直発射台の高さは40メートル余りに達し、舞水端里試験場の発射台(30メートル余り)より高く、大型の長距離ミサイルや人工衛星を積んだロケットも発射できると評価されている。
情報当局は、東倉里の試験場は舞水端里の試験場の2倍以上の規模を持つと評価している。李相熹(イ・サンヒ)国防長官は昨年11月、国会で外交安保統一分野の対政府質疑の答弁を行った際、「大浦洞(舞水端里)基地よりもう少し規模が大きなミサイルや、人工衛星打ち上げロケットを発射できる基地だと評価している」と語った。
東側に発射し北朝鮮内陸を横断飛行させる場合、舞水端里から発射するより遠くまでの飛行試験が可能で、北朝鮮内陸のレーダー基地などを通じミサイルの追跡データを収集しやすいことも利点に挙げられている。
また、西海(黄海)の公海上に向け南側へミサイルを発射することもできる、と消息通は伝えた。これまで舞水端里から発射されたミサイルや長距離ロケットは日本の領土上空を飛び越え、日本の強い反発を招いており、日米が迎撃の可能性に言及した点を考慮、その素地をなくすためのものだという。
寧辺の核施設から東倉里の試験場までわずか70キロ余りの距離しかない、ということも注意を引く。北朝鮮はまだICBMに搭載できる核弾頭を開発できていないが、ゆくゆくは寧辺の核施設で作られた核兵器を短時間で運搬し、ミサイルに装着できることも、舞水端里の試験場に比べ有利な点だ。(朝鮮日報)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
コメント