米国のメデイアよりも韓国のメデイアの方が、北朝鮮に拘束されている二人の米女性記者が厳しい有罪判決を受けたことに関心を示している。オバマ大統領がこの有罪判決に深い懸念を示したが、米世論はこれまで、事件を冷静に受け止めている。
むしろ議会筋から「米国市民が北朝鮮の強制収容所送りになれば極めてショッキングな事態」と懸念する声があるが、日本が拉致問題で北朝鮮非難の国民世論が燃え上がった様相とは違いをみせる。
ケリー国務省報道官は8日未明に声明を発表し、北朝鮮当局に判決内容の確認を求めているとした上で「深い懸念」を表明。北朝鮮に「人道的見地」から2人の即時釈放を要求、解放実現に向け「あらゆるチャンネルを通じて」努力すると述べた。
このあらゆるチャンネルを通じた水面下の釈放交渉が始まった気配がある。世論の関心はそちらの方にあるのではないか。
<北朝鮮の朝鮮中央通信は8日、「朝鮮民主主義人民共和国中央裁判所(日本の最高裁判所に相当)は、米国の女性記者(サンフランシスコのケーブルテレビ局“カレントTV”所属)ローラ・リン(中国系)とリ・スンウン(韓国系、米国名ユナ・リー)に対する裁判を今月4日から8日まで行った。
裁判では朝鮮民族敵対罪、非法国境出入罪を適用し、二人の有罪を認め、それぞれ12年の労働教化刑を言い渡した」と報じた。今年3月17日、中朝国境付近で脱北者の女性についての取材を行っている最中に身柄を拘束されて以来、83日にして判決が下されたというわけだ。
北朝鮮の裁判は2審制だが、中央裁判所が1審の審理を行い判決を下した場合、その判決が確定する。北朝鮮の刑法によると、「罪状が重い」と判断された場合、「朝鮮民族敵対罪」は10年以上の労働教化刑、「非法国境出入罪」は3年以下の労働教化刑を科すとされている。
北朝鮮が米国の女性記者二人に対する刑事手続きを終えたことを受け、二人の釈放に関する米朝両国の交渉が本格化する見通しだ。
オバマ米大統領はこの日、北朝鮮が二人に重い刑を言い渡したことに対し「深い懸念を表する」と述べた。また、国務省も「米国は女性記者たちの釈放に向け、可能な限りの交渉ルートを確保している」とした上で、「人道主義的な観点から、記者たちの即時釈放を求める」とコメントした。
一方、ヒラリー・クリントン国務長官はこれに先立ち、北朝鮮へ書簡を送り、女性記者二人の越境を謝罪するとともに、釈放するよう求めた、と米ABCテレビが7日報じた。(朝鮮日報)>
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