3456 鴨は美味かった 渡部亮次郎

嘗ては琵琶湖に次いでわが国2番目の湖だった旧八郎潟はシベリアから来る渡り鳥の生息池だった。11月になると金持ちの大人は散弾銃を持って鴨の群を狙った。
時々、「成果」が届けられ、鴨鍋にあずかった。いつも食べる家の鶏とは違った臭みがあって、却って美味しかった。今も残存湖の鴨と称する物を取り寄せるがケージで飼育したものらしくトウモロコシの味がする。1羽1万円は無駄だから,やめた。
旧八郎潟に浮いた鴨はシベリヤからの長旅で痩せおとろえていたが、潟の小魚を夢中になって食し、すっかり脂が乗った。そこを解禁を合図に討ち取られるのだから鴨の美味かったのは当然だった。
世上「がんもどき」がある。豆腐を油で揚げたもの。がん もどきなのだが東京では「がんも」と称する。事ほど左様に同じ渡り鳥の「鴈」は美味しい物だったが、なかなか手に入らぬ事情があった昔、せめて豆腐を揚げ物にして「鴈」を食した。
その「鴈」を食べた事は無い。しかし多分「鴨」と似た味だろうと思って、拘らない。
先に述べた旧八郎潟には進駐軍(アメリカ)が猟にきたが、実情を目撃した旧制中学当時の兄によると「連中は鴨は狙えず白鳥を撃っていた」。
鴨は肉食文化が一般的でない明治維新前の日本で、食用とされた数少ない鳥獣類だった。鍋やすき焼きなどの料理が代表的だが、臭みが強く食用に適さない種もいた。
そこで鴨鍋はネギと煮るが、江戸時代にはセリと煮て臭みをとっていた。今日、鴨肉の名称で流通しているものの多くはアヒル(マガモを家禽化したもの)の肉であるが、アイガモ(アヒルとカルガモの交配種)や野生のマガモなどもしばしば食用とされる。
日本では主にカルガモ、カモ(鴨)とは、カモ目カモ科の鳥類のうち、カリ(雁)に比べて体が小さく、首があまり長くなく、冬羽(繁殖羽)では雄と雌で色彩が異なるものをいう(カルガモのようにほとんど差がないものもある)。分類学上のまとまった群ではない。オシドリなどが通年生息し、全国の河川や湖などで見られる。
本邦では多くが冬鳥であるため、冬季にはマガモ、コガモ、オナガガモ、スズガモなど多種が見られる。
日本語と異なり英語のDuckなどヨーロッパの言語では、基礎語彙のレベルでは野生の鴨と家禽のアヒルを区別しないので、翻訳に際して注意が必要である。バリケンも鴨の範疇に入る。
野生種では生息数や生息地の減少からワシントン条約や日露渡り鳥条約、日中渡り鳥条約、日米渡り鳥条約、ボン条約(日本は未加盟)などの適用を受けている種も多く、生息地がラムサール条約に登録されることも
ある。日本では鳥獣保護法で狩猟してよい種と時期、地域、猟具など規制している。
<鴨が使われる諺>
鴨が葱を背負ってくる=鴨鍋にネギを入れると臭みがとれて美味しくなる事から、いいことが重なってやってくること。また、「鴨」は利用しやすい人をいうことから、たかりやすい奴が、カネをたっぷりを持ってやって来ることもいう(そのために詐欺や悪質商法のターゲットをカモと揶揄している)。略して鴨葱(カモネギ)。
いとこ同士は鴨の味=いとこ同士の夫婦の仲はとても睦まじいということ。出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました