3523 上下する世論のエレベーター 古沢襄

民主党の国会議員も世論というテコで動かされ、激しく上下するエレベーターに乗っている気分だろう。鳩山新代表になって風が吹き、政権交代の果実が目に前にぶら下がっている。もう大丈夫と大臣の猟官運動もあるやに聞くが、一天にわかにかき曇り、古傷の西松事件の暗雲が迫ってきた。
産経新聞は【主張】で「西松事件初公判 これでも責任はないのか」と厳しく批判している。他紙の論調も同じだ。批判に対して正面から答える必要がある。逃げれば逃げるだけエレベーターは下がり続ける。
<小沢一郎氏が民主党の代表を退くきっかけになった準大手ゼネコン「西松建設」の違法献金事件で、献金側の前社長、国沢幹雄被告(70)らに対する初公判は、被告が起訴事実を全面的に認めたため、即日結審した。
検察側は冒頭陳述で東北地方の公共工事受注に関し、小沢代表代行の事務所が大きな影響力を持っており、献金はその見返りを期待してのものだったという「犯罪の構図」を提示した。無理な論証という印象ではない。
この事件では、東京地検特捜部が小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(48)を政治資金規正法違反容疑で逮捕、起訴した。
これまで小沢氏や民主党などは、「献金は法律にのっとって処理しており捜査は不当だ」などと、激しい検察批判を繰り返してきたが、小沢氏側主導の巧妙、かつ悪質な偽装献金事件ではないのか。「単なる形式犯」という主張は、もはや説得力を失っているように見える。
この日の冒頭陳述では、岩手、秋田両県のダムなどの公共事業の談合で、小沢事務所の意向が「天の声」とされ、業者選定に多大の影響力を及ぼしていると指摘した。また、小沢事務所が西松側にダミーとされる2政治団体を通じて分散献金するよう要請していたことも明らかにした。
さらに、「政治団体の献金が西松建設側からの献金と知っていた」という、大久保被告の供述調書も採用された。献金の意味合いについて、国沢被告は「小沢先生の歓心を買い、工事を受注するための違法な献金だった」とも供述したという。
大久保被告に対する公判ではないものの、こうした冒頭陳述のもつ意味は重い。
東京地検特捜部の捜査では、平成9年から同17年まで、西松建設から小沢事務所側に年間1500万円の寄付が行われており、その割り振りはすべて、大久保被告が取り仕切っていたとされる。
これだけの多額な献金について、事務所の最高責任者である小沢氏は、「私の全くあずかり知らぬこと」と言っている。が、政治的、道義的な責任は、代表を辞任しても残っている。早急に説明責任を果たすべきだ。
事件の最大のヤマ場は、大久保被告の公判である。初公判の日程は決まっていないが、できるだけ早く開くべきだろう。(産経)>
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