3551 降って湧いた党役員・内閣人事 古沢襄

麻生首相は来週にも党役員人事の検討に入った。東国原宮崎県知事と自民党の古賀選挙対策委員長の会談で一番気にしているのは民主党であろう。その流れの中で党役員人事と閣僚の一部差し替え人事が浮上している。
話題が民主党から自民党の党役員人事に移ることは、民主党にとって好ましいことではない。仮に地方分権の促進のために東国原宮崎県知事を総務相に起用することにでもなれば、発信力が強烈な東国原氏に話題が集まる。
もっとも自民党にとっても複雑な反響を呼んでいる。若き総裁候補・石原副幹事長を抱える山崎派にとって強烈なライバルを自民党内に持ち込まれることになりかねない。参院自民党にとっても参院から初の総裁候補・桝添康生労働相がどうなるかと懸念材料になる。
その一方で武部勤元幹事長は「東国原さんは特Aだよ」との最大評価を下している。地方分権を旗印にして選挙を戦う腹である。
問題は最大派閥の町村派の去就であろう。安倍元首相は内閣・党人事を刷新して、麻生首相の下で早期解散・総選挙を唱えているが、福田前首相は細田幹事長と親しいだけに総選挙を前にしての幹事長更迭には異論があるかもしれない。
第二派閥の津島派には次期総裁候補として石破農相がいる。総選挙後に予想される自民党の総裁選挙では、選挙結果によるが、麻生首相の続投も含めて熾烈な争いになりかねない。各派閥ともそれぞれの思惑を秘めて、麻生首相の出方を窺っている。
<麻生首相は、来週にも自民党役員人事を行う検討に入った。7月1日に10年度予算編成の枠組みとなる概算要求基準(シーリング)を決定した後にも行う方向だ。同じ時期に与謝野財務相と佐藤総務相の兼務を解消するなどの閣僚の補充人事を行うことも検討している。与党内には反発も出ており、首相が最終的に踏み切れるかどうかが焦点になる。
首相は25日の会見で衆院解散の時期について「そう遠くない日だ」と発言した。7月12日投開票の東京都議選前の衆院解散も視野に入れており、党と内閣に新たな人材を登用することで、早急に態勢強化と政権浮揚を図るねらいがある。
党役員人事について、総選挙が近いことから古賀誠選挙対策委員長は留任させる方向。細田博之幹事長、保利耕輔政調会長、笹川尭総務会長の交代を検討するとみられ、特に幹事長は論客である民主党の岡田克也幹事長との論戦などを想定した人選を検討する見通し。自民党内では、首相側近の菅義偉選対副委員長や知名度の高い舛添厚生労働相らの名前が挙がっている。
麻生内閣では現在、与謝野財務相は金融相、経済財政相、佐藤総務相は国家公安委員長と沖縄・北方担当相を兼務している。野党からは「兼務が多く、職責を果たせるのか」と批判が出ていた。だが首相は25日の会見で内閣改造を否定しており、総選挙で麻生内閣の実績を問う観点から本格的な改造は行わず、補充にとどめる考えだ。
与党内では衆院解散日について、天皇、皇后両陛下がカナダ・米国へ出発する7月3日以前の同2日との見方が出ている一方、両陛下の海外訪問に関係なく、イタリアで行われるG8サミット出発直前の6日ごろとの見方もあり、投開票日は8月2日も視野に入る。ただ、与党内には、解散は都議選後にすべきだとの意見も根強く、その場合、投開票日は8月9日以降が有力になる。
一方、与党内には早期解散や党役員人事に否定的な意見もある。自民党の閣僚経験者は「選挙目当てみたいな感じで、逆に足元を見られる」と指摘。公明党幹部も26日、「この時期に党役員人事ができるのか」と疑問を呈した。(朝日)>
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