イラン混乱は絶妙のタイミング、何かがおこる前触れ?
『エルサレム・ポスト』(7月2日)はイスラエル海軍のドルフィン級潜水艦が、スエズ運河を通過中と伝えた。西側軍事観測筋は緊張とともに、このイスラエルの軍事行動を見守っている。
イスラエルの潜水艦がスエズ運河を通過するのは、エジプトとサウジを通過すると同義語であり、極めて難しい、というより面妖。その先は多国籍海軍が警戒するソマリア沖アデン海だ。
おりからイランは政治混乱の極。
なにかの前触れか? ドルフィン級潜水艦は核兵器搭載ミサイルの発射が可能と同エルサレム・ポストが書いている。
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(読者の声1)小生が一昨年の8月某日、航空自衛隊小松基地で約1時間のドッグファイト(実戦を想定した模擬訓練)に体験搭乗させて頂きましたが、体験搭乗終了後、「マッハ2.2、最高重圧7.5G(重力の7.5倍)」かかったという説明を受けました。
その際に、マッハ2.2は時速に直すと、約2,700!)/hとの説明も受けました。(MS生)
(宮崎正弘のコメント)すごい体験をされましたね。三島由紀夫もF104ファントムに試乗し、体験記を書いたことを思い出しました。昭和43年頃の『文藝』。
小松は民間空港と併用、小生は実家が金沢なので、年に何回か利用する空港ですが、自衛隊のほうへ回ったことがありません。貴重な体験をなさいました。
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(読者の声2)貴誌2649号(読者の声2)の接見に対する先生のコメントで、「安倍さんのときに決めた安保会議も福田内閣で一度も開かれず」という箇所には唖然となりました。
「他者(他国)の嫌がる事はしません」という事か? だが、その他者である韓国は不法占拠した竹島を返さない上に日本全土を射程距離に収めたミサイルを既に配置。逆に支那は尖閣諸島やさらには沖縄を狙って潜水艦を日本領海内に忍ばせている。
北朝鮮は拉致された人達を返す気も無いし、核開発に余念が無い。つまり、残念ながら他人の嫌がる事を行うのが国際政治だという事。それにしても国家安全保障会議を開かないとは?
福田前首相は国家解体主義者か?
大体、同会議には常任スタッフさえいたのか? しかし現在の日本の政治家達を見渡して見ると、民主党の鳩山党首は「愛妻(日本列島)は私(日本人)だけの物では無い」というスワッピング愛好者。
自民党でも、加藤鉱一などは「赤(金正日)は緑(天皇陛下)と同じ」という色盲。中川秀直は移民を一千万入れろという変態。いつの間に日本には国家解体主義者が巣食うようになったのだろう。
私が思うに、今の日本に必要なのは自民党の左側に位置する政党ではなく、自民党を右側から牽制する強力な右派政党。普通の民主国家だと右翼と左翼が拮抗するのが健全な状態ですが、自民党は右翼政党ではなく、せいぜい中道。他は皆国家主権を放棄する民主党を始め極左政党。今の日本に緊急に必要なのは、米国の共和党、英国の保守党、イスラエルのカディーマ党かリクード党に匹敵する愛国政党です。
私が以前指摘した「日本が米国の景気対策を兼ねてステルス性のF22でも大量購入する」という事を、今回宮崎先生は「オバマは雇用に絡めていずれ、(F22を)日本に売らざるをえなくなる。虎の子の軍需産業も倒産となればオバマは2012年は大惨敗ですから、失業対策、景気対策として最大の顧客に売らないなんて立場を維持するのは難しい。」と補足して頂きました。
ただしロバート・ゲイツが引き止めているのではないですか?
http://www.melma.com/backnumber_45206_4365390/
不思議なのは「どうせ日本向けF22はグレードが低いヴァージョン」という御指摘の箇所。F15にしても、上記で(貴誌2474号)で先生は「(自衛隊所有機は)迎撃機です。攻撃能力はありません。スクランブル発進して、敵機が攻撃してきても反撃できないシロモノ。
ゆえに自衛隊機は敵機の背後上空に回り、警告を発するだけです。」と指摘されましたが、韓国やイスラエルは地上攻撃能力を持つ改良型のF15KやF15Iを入手したのに日本は遅れた。
これは法的解釈の故か、それとも専守防衛政策がネックなのか、あるいは他に理由があるのか。ちなみにイスラエルはシリアの核施設爆撃にF16ではなくF15Iを使っています。
http://facta.co.jp/article/200804007002.html
http://www.metacafe.com/watch/2989348/israeli_f_15i/
ところで私がしつこく戦闘機に関してイスラエルを引き合いに出るのは、単に北朝鮮・イラン・シリア枢軸対策の事だけではありません。八十年代から国産戦闘機を造るという野心を持った日本は米国との共同制作という妥協を余儀なくされました。
一方、イスラエルの軍事産業も自主開発戦闘機ラビを造る計画を米国に押し潰されたという類似の経緯があるから参考になるのです。
イスラエルは例えば米国からF16戦闘機を受け取ってもそのまま使わない。独自のノウハウで換骨奪胎して「全く別の機」にしてしまう。
よって、同じ機を抱えたエジプトやサウジなどよりも優位を保つ事が出来る。
ただ、同盟国の米国軍事産業は面白くないらしく、ラビ計画を潰しても満足しなかった。イスラエルが支那へ戦闘機やレーダー技術の製品や半製品を売却・技術協力したのをきっかけに米国への許可無しで武器輸出をしないよう圧力をかけ、イスラエルは屈服。
さらにF16のステルス後継機のF35の開発にイスラエルは参加させて貰えず、冷飯喰わされた。
その上、イスラエルがF22の替わりに採用決定したF35に一切改良を加える事を米国は禁じた。以前も書きましたが、現在ペンタゴンではイスラエルに親戚のいる者を採用しない。
これらを見れば何も日本だけが特に米国に圧迫従属させられている訳でも、ユダヤ人が米国を完全支配している訳でも無いと解ります。私の主張は同じ自由陣営にある親米国家の安全保障対策の成功と失敗から大いに学ぶところがあるのではないかという事です。
「核シェルター化ですが、国防意識を高めるより、いまの日本では恐怖を煽る」という先生の冷水を浴びせる御意見には、ムムム・・・。(DoraQ)
(宮崎正弘のコメント)米国に限らず、どんな国でも軍事的優位を維持することが優先です。F15,16を米国は輸出仕向地によってバージョンをかえる。つまりグレードを落とす。
たとえば台湾向けF16は、大陸へ侵入できても五分か十分しか作戦行動がとれない。日本のF15は、ようやくミサイルをつけるようになりましたが、北朝鮮往復は航続距離からいって無理。空中給油機が必要です。作戦行動をとるとき、戦闘機は普通の十倍の燃料を使います。
ですからF22も、日本にたとい輸出したとしても性能が随分と劣るものになります。イスラエルのように、手にしてから日本が改良する? 三菱重工の各務原工場にはアメリカから「監視員」が常駐しています。そういう契約です。
自主生産に踏み切るにはコストの関係から武器輸出も同時にOKにならないと出来ない計算になります。
北朝鮮の核施設を、イスラエルがイラクのオシラク原子炉やシリアのそれを空爆したように、日本もやるべきでしょう?
ところが安保会議も開かない日本は米軍に期待しているだけ。米軍がなんで日本のために先制攻撃をするでしょうか? 日本がやるのなら支援をするというのが安保条約の基本ですからね。
小生は来年、日米安保条約50周年を機に、条約の改定運動を提唱し、多くの保守陣営の協力を得て、連続的シンポジウムや出版を考えているところです。そのあとの決断は政治です。
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3586 イスラエル海軍、潜水艦を紅海へ 宮崎正弘

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