ウイグル騒擾、胡錦涛主席イタリアサミットを中途退席して帰国。習近平(副主席)が事態の収拾に陣頭指揮。軍を増派、血の弾圧を正当化。
あの「通州事件」は、おそらくこのような筋書きだったのだろう。
警備の任にある保安隊が在留邦人の名簿を密かに収集し、ある日突然、日本軍の手薄をついて襲撃を開始、これ以上の残忍な殺害方法があるかというほどの残虐な手法で、日本人二百数十を殺害した。
ウィグル族の東トルキスタン独立運動の地下組織を炙り出す方法は、いったんデモを許可し、デモ隊に紛れ込んだ特殊部隊や公安のスパイが暴力行為にでる。
デモを呼びかけた「世界ウィグル人会議」をテロを煽ったという罪をなすりつけ、カディール女史の西側のおける名声をおとしめようとする。ダライラマを口汚くののしる遣り方と同根である。
弾圧の口実をつくり、デモ隊に発砲して指導者を消し、さらには「ウィグル人は暴徒」と宣伝して、活動家を一斉に逮捕・拘束する。これは共産党の常套手段であり、驚くには値しない。
漢族はウィグル族を奴隷ていどにしか認識していないから、この機会に便乗して徹底的な殺戮を繰り返す。武装した漢族のウィグル人襲撃、ウィグル商店街の破壊行為に軍も警察もみてみないフリをしている。
ついでウィグルの思想的指導者でもあるイルハム・トカティ(中央民族大学教授)を7月7日に拘束した模様(博訊新聞、7月8日)。イルハム教授は穏健派だが、ウィグルの歴史的文化的価値を尊重することを呼びかけていた人物として知られる。
▲北京にもどった胡錦涛はどんな命令を下すか?
そして滑稽なことに中国外交部は「オランダとドイツに中国大使館の安全と尊厳を守るように要請した」(人民網、7月8日)。
オランダの中国大使館前には200名近いデモ隊が現れ、ウィグルの弾圧を許すなと訴えた。ドイツでもミュンヘン領事館に火炎瓶が投げられた。
このように過剰に反応する手段も政治宣伝の一環。過剰な自己防衛は、在日朝鮮族がときおり不利な政治状況に陥ると、通学中の女子学生の民族衣装がナイフで切られるという「年中行事」にも似ている。
一方、中国共産党指導部にはかなり深刻な動揺が拡がり、対策チームが発足した。
胡錦涛不在のことゆえに次期総書記に有力とされる習近平の「腕試し」にもなる。胡錦涛はチベット自治区書記の時代に、徹底的に「暴乱を鎮圧した」功績によって、トウ小平に認められた。
習近平も、ウィグルの反乱を力で平定し、いかに「安定を確保するか」の政治的力量が問われる場面でもある。
対策チームは習近平を基軸に周永康(中央政治局常務委員)、王楽泉・ウィグル自治区書記、孟建柱・公安部長らが出席して騒乱を「テロ」と位置づけた(多維新聞網、7月9日)。
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(読者の声1)貴誌通巻第2654号TT氏に対して「(宮崎正弘のコメント)佐藤守閣下のF22論は、米国が日本に核武装をさせないという文脈の中での現場の解釈と思います」と書かれました。
現行の日米安全保障条約の下で、日本が核武装することは不可能です。
それよりNATO加盟国の中の非核保有国のドイツやベルギーが既に三十年以上前に米国政府との間で合意している自国が攻撃されたときは自国領内の米国が保有する核兵器は、当該国政府の指揮下に入るということを安全保障条約に加えて条約で結ぶか、次期日米安全保障条約改訂時に条項として加えることを要求することが緊要と考えます。
勿論、要求を呑まなければ核武装するという明確な意思表示の上で要求する必要があります。
近未来で日本の安全保障に関して一番危険なのは米国と北朝鮮あるいは中国が平和条約を結ぶことです。平和条約を結べば、日本が攻撃されたとき米国軍は日本の防衛に参加できなくなるからです。
したがって日本政府は米国政府に、もしそれらの国との間で平和条約を結ぶ場合は、日本を攻撃した場合は、当該平和条約は無効となる旨の条項を入れることを要求しなければなりません。
もしそのような条項なしに平和条約が結ばれる場合は、米国政府は日本が核武装をすることを承認したとみなす旨を日米共同宣言に入れることが日本の防衛に必須であると考えます。(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)ご指摘の「NATO加盟国の中の非核保有国のドイツやベルギーが既に三十年以上前に米国政府との間で合意している自国が攻撃されたときは自国領内の米国が保有する核兵器は、当該国政府の指揮下に入るということを安全保障条約に加えて条約で結ぶか、次期日米安全保障条約改訂時に条項として加えることを要求することが緊要」の箇所が最重要ですね。
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(読者の声2) 貴誌で話題となっている、“米国が日本に核武装をさせない”とは断定出来ないのではないか。
却って核武装論の国会審議すら赦さないという公明党、民主党、マスコミが障害となっていると思う。これでは非核三原則の撤廃すら不可能ではないでしょうか?
解決の糸口のひとつに、米国内の、日本の核保有賛成派(アメリカが核兵器を提供する)を動かすオプションがあるように思うのです。
“いずれ日本は核を持つ。それならアメリカが提供するのがベスト”という考えが出てきた。来年は日米安保50周年です。日米で議論が始まる。日本通のジョゼフ・ナイ教授やマイケル・グリーンなどが加わるでしょう。BURDEN・SHAREが議題の中心でしょう。その議題の中のひとつが日本の核保有の是非のはずです。(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)日米同盟五十周年のイッシュウが、ふたたび「役割分担」がテーマではまるで戦略性がないのですが、いまの日本の政治家、官僚のレベルではそうでしょう。
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宮崎正弘
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