米国中央情報局(CIA)が、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康問題について、今後五年間生存する確率は29%に過ぎないとする内容を韓国の情報当局に伝達したという。
また米紙ワシントン・タイムズは9日付の記事で、より悲観的な見通しを示した。同紙は「金総書記は昨年脳卒中を患ったと伝えられて以降、健康だった以前の姿とは全く異なる弱々しい姿を見せている。このまま健康が悪化し続ければ、今後一年程度しか生きられないだろう、という見通しが出ている」と報じた。
さらに「金総書記は最近、西洋医学による治療を断念し、漢方やそのほかの非伝統的療法を含む東洋医学に依存している」「情報アナリストは一時、金総書記が脳卒中から回復し北朝鮮の統制力をしっかり握っている、という結論を導き出していた。しかし三男・正雲(ジョンウン)氏への権力継承説は、金総書記の健康異常説をより一層あおり立てることとなった」と報じている。
この関連で韓国の朝鮮日報は金正日総書記に何らかの事態が発生した場合は、北朝鮮で権力闘争が繰り広げられるという注目すべき情報を伝えている。これは国家情報院が韓国国会で報告した内容である。
<韓国の情報機関である国家情報院はこのほど、「今後北朝鮮の権力が金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男、正雲(ジョンウン)氏に継承され、金総書記に何らかの事態が発生した場合、現在金総書記に次ぐ権力者とされる張成沢(チャン・ソンテク)朝鮮労働党行政部長兼国防委員が先頭に立ち、権力闘争を繰り広げる可能性が濃厚だ」と国会に報告した。
同院は国会に提出した資料の中で、「現時点では金総書記の後継の構図は、正雲氏への3代世襲が確実とみられる。しかし、正雲氏が権力を継承したとしても、金総書記の健康状態や北朝鮮体制の政治・経済的不安要因を考慮すると、脆弱(ぜいじゃく)な権力構図になることが予想される」と説明している。
同院は3代世襲以降に権力闘争が起きる可能性について、「金総書記の死後、張成沢氏と彼の支持勢力が権力獲得を試みた場合、後継者(金正雲氏)の支持勢力との間で権力闘争が繰り広げられる可能性が濃厚だ」と予測した。金総書記の義弟であり、正雲氏の叔父に当たる張成沢氏は、現在正雲氏への権力継承作業に助力しているが、過去には金総書記の長男である正男(ジョンナム)氏を後継者として支持した人物として知られる。
同院は「後継者の立場が固まらない状況で金総書記が突然死亡すれば、“軍・党集団指導体制”が登場する可能性もある」という見通しも同時に提起した。
国家情報院は張成沢氏の夫人で金総書記の妹である金敬姫(キム・ギョンヒ)氏も、正雲氏の「後見人」として注目している。同院によると、金敬姫氏は労働党軽工業部長だった2003年9月以降、公の活動を中断、その後うつ病とアルコール依存症の治療を受けてきたという。「金敬姫氏は今年6月7日に“党部長”という肩書で公の活動を再開、正雲氏の後見人の役割を担っている」というのが同院の説明だ。
同院は正雲氏が公式に後継者となる時点については、北朝鮮が「強盛大国建設実現」の年に設定した2012年になると見通した。「正雲氏は政治的な実務の経歴が浅く、内外の条件が悪い点を考慮すると、公式の発表には一定の時間がかかる」というわけだ。しかし、同院は「金総書記の健康が急激に悪化すれば、短期間で実現することもあり得る」と付け加えた。(朝鮮日報)>
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3646 北朝鮮で権力闘争の可能性 古沢襄

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