麻生首相が8月30日総選挙の決断を下した背景について、いろいろ取り沙汰されているが、やはり政権の後ろ盾だった森元首相の存在が大きい。最終的には考えうる最良の選択をしたことになるのではないか。投票日まで四〇日間の間隔を置いたことによって、東京都議選で大敗した自民党の態勢を立て直し、反転攻勢をかけるきっかけを掴もうとしている。
党内基盤が弱い麻生首相は最大派閥の町村派の支持が欠かせない。その実質的なオーナーである森氏には事あるごとに相談してきた。それを察知している党内各派から有形無形の働きかけが森氏のところに来ていた。
一連の騒動の中で参院自民党が麻生批判、麻生離れが目立っていた。参院自民党のドンである青木参院自民党前会長は、森氏に対して桝添厚生働相を新総裁に担ぎ出し、劣勢の自民党を立て直す様に求めていた。麻生降ろしの急先鋒である中川元幹事長は疎遠だった森氏のところに来て、麻生氏に自発的な退陣を求めるキイマンは森氏しかいないと訴えた。
だが森氏は動かなかった。森氏の下には公明党からも早期解散に反対する強い働きかけがあった。その一方で麻生氏の盟友である安倍元首相は、麻生首相の下で解散・総選挙を迎えるしかないと森氏に繰り返し進言している。細田幹事長、大島国対委員長も同様である。安倍氏と呼吸を合わせていた首相側近の菅義偉選挙対策副委員長は、一貫して限りなく衆院議員の任期満了に近い時点での総選挙を唱えている。
しかし麻生首相は14日解散に拘った。早期解散によって党内に蠢動する麻生降ろしを封じるつもりだった。党内各派の主立ったところには14日解散を電話で伝えた。森氏のところには、各派の領袖から次々と連絡がきている。森氏には麻生首相から最初に連絡があった。
森氏が懸念したのは、公明党の動向。斉藤環境相が解散詔書に署名を拒み、麻生首相が斉藤環境相を罷免すれば、公明党が連立を離脱する噂が流れていたからである。細田幹事長にその懸念を確かめている。党内の麻生降ろしは、押さえ込めると踏んでいた森氏にとって、公明党の離脱は総選挙戦略を根底から覆す。各小選挙区で自民党候補は一万から二万の創価学会票の選挙協力を受けている。
一方、麻生首相は公明党に連立離脱はないと踏んでいた。むしろ党内の麻生降ろしを封じるには14日解散しかないと思い詰めている。下手をすれば、森氏が参院の青木氏に乗って桝添擁立に傾くのではないか、と疑念を抱いたのではなかろうか。野中広務氏がテレビ朝日で福田前首相による選挙管理内閣を匂わせた情報も入ってくる。
森氏の意向を受けた細田幹事長は大島国対委員長とともに麻生首相と直談判して、麻生降ろしは確実に封じ込めると約束したと伝えられる。森氏の念頭には麻生降ろしの急先鋒だった中川元幹事長があったと思うが、党内には加藤元幹事長ら麻生降ろしの火種が残っている。
いくつかの不安定要素は払拭されていないが、麻生首相は8月30日総選挙を決断した。森氏が描く戦略は来年夏の参院選挙で衆参ダブル選挙を仕掛けることではないか。そのためには総選挙で与党が僅差でも過半数を取らねばならない。野党に転落すれば、解散権を失うことになる。
森氏もいずれはポスト麻生の最有力候補が桝添氏と見定めているのは間違いない。青木氏もそれで納得したのではないか。参院自民党の動きも沈静化している。
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3648 麻生政権の後ろ盾・森元首相 古沢襄
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