3650 イスラム諸国を「敵」に回してしまった中国 宮崎正弘

アルカィーダはマグレブ諸国で『報復』(中国人殺害)を予告。全世界のイスラム諸国が立ち上がった。シーア派のイランでさえ中国に対して、やわらかに「調査団」の新彊ウィグル自治区への派遣を主張し始める。
 
人口の多いインドネシア、トルコでは連日、数万の抗議、とくにイスランブールは十万人の集会が開かれ、これまで中国の顔色を窺ってきたトルコ政府もカディール女史の訪問にヴィザを発給した。
中国の揚外相はトルコ外相と電話会談して、「あれは外部勢力と結んだ過激派の行動であり、イスラム教徒への差別ではない」と釈明した。
トルコのエルドガン首相が「あれはジェノサイトでは?」とした発言をトーンダウンさせた。
ところが収まらないのはトルコ議会である。トルコは世俗イスラムとはいえ、ちょっと裏町へ入ればイスラム原理主義過激派がうようよいる。政局がかわればイスラムの爆発がある。過激派のテロ事件もかなりの頻度でおこることはエジプトに似ている。
 
「コーサル・トプタン国会議長はアンカラ駐在中国大使を呼んで『この目で何がおきたかを確かめたいのでトルコ議員団の視察団を受け入れてほしい』と伝えた。中国側は本省に問い合わせると回答を避けた」(トルコの英字紙、ディリーニュース、7月14日)。
湾岸諸国も調査団の派遣を検討し、米国の議会の一部にも同様の動きがある。
旧ソ連アゼルバイジャンにも反中国ムードが拡がり、中国大使館へ押しかけたデモ隊から逮捕者もでた。西側で最も抗議運動が盛んなのはドイツで、ウィグル組織があるうえ、数万の移民がウィグル人コミュニティを形成しているからだ。
また「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は「アルカィーダが北アフリカ諸国で働く中国人を殺害すると予告した」ことを伝えている(同紙14日)。同紙は北京寄りのメディアで、マレーシア華僑の郭鶴年が経営のため、北京への警告ともとれる。
しかし現実問題として、中国人技術者ならびに労働者は、マグレブ諸国にも溢れており、同時にイスラム過激派アルカィーダの支部が散らばるがアルジェリアが最大の拠点。
中国のアフリカ援助は建設現場、石油採掘サイトでも、現地人を殆ど雇用せず、プロジェクトが決まると中国人労働者を大量に連れてくるので、新植民地主義、侵略者=中国というイメージがアフリカ諸国では強まっている。
かくて中国はイスラム諸国を敵に回してしまったかのようだ。
  ♪
貴誌のウイグルに関する皆様のお話を、心を痛めながら拝読しました。
ウイグルに関するドキュメンタリーはつい数日前にドイツWDRが緊急番組で、カデール女史の活動に焦点を当てたドキュメンタリーを流し、翌日にはドイツ語フランス語の文化TV局ARTEが番組予定を変えて、それをドイツ語とフランス語で流したので、私も見ました。
中国人ばかりではないですか!ウイグルの中…。ウイグル人は、小さく息をひそめて暮らしている。中国国内も統治できずして、なぜ、他国を侵略するのか、許せない。
ウイグルのモスリムのバック・グラウンドがトルコということは、昨日のオランダの新聞で初めて知りました。ですからチベットや台湾の場合より、ヨーロッパは相当ウイグルに肩入れはしています。
ヨーロッパ各国、毎日のトップニュースは、中国のウイグル弾圧から始まり、中国批判が今回は、非常に高まっています。
これが世界各国一致団結して、一大反中国運動・中国弾圧へと発展していくか、或いはUSAや日本政府のように、中国に騙され続けるか(=中国を目先の欲で利用しようとした挙句、逆に侵略されてしまう)、ここが今後、私たちの住む地球が無事でいられるか否かの、大きな分かれ道のように感じています。
ともかく、あまりに酷い。ウルムチの人々は、今、続々と車で国を離れていっています。(Hana、在オランダ)
(宮崎正弘のコメント)トルコのエルドガン首相は、「ウィグルは独立するべきである」と公式に発言しました。すると中国は早速「トルコ領内のクルド族も独立すべき」と応酬しましたが。「土耳其指示彊独、中国応挺庫爾徳」(多維新聞網、7月14日)。
 
(「土耳其」はトルコ、「彊独」はウィグル自治区の独立、、「庫爾徳」(クルド)です)
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました