08憲章の劉暁波にノーベル平和賞を、と人権団体が委員会を設立へ。中国は猛烈に反対し、米国に圧力をかけるだろう。取引材料は何か?
米国の人権団体と中国人留学生らが中心の「中国民主論壇」が、劉暁波にノーベル平和賞を! のキャンペーンを開始するための委員会を設立する(多維新聞網、7月21日付け)。
劉は「08憲章」起草者として著名な活動家で、現在中国当局に拘束されている。同憲章は中国の平和的発展と民主化を基軸に中国政治の変革を希求したもので、300名あまりの知識人らが署名した。
「世界の普遍的価値観と中国の特殊状況は乖離しすぎており、世界最大の人口をかかえる国が平和に発展することが世界の平和に繋がる」ので、あり、この価値観を推進する劉暁波に、この時点でノーベル平和賞を与えることは有意義である、と「中国民主論壇」は声明している。
さて中国の反応はまだないが、嘗て魏京生のノーベル平和賞を直前で巧妙につぶし、昨年はカディール女史の平和賞受賞も政治力を駆使して潰した「実績」があるだけに、ノーベル財団に巨大な圧力をかけることが予測される。
米国は、さきに冤罪による無期懲役で広東の刑務所に収監されている『中国之春』の創刊者で、「中国民主党」主席だった王丙章の釈放さえ要求できないテイタラク。
あれほど人権にうるさいクリントン国務長官の腰砕けをみよ。ナンシー・ペロシ下院議長は北京を訪問しても、ついに「人権のジの字」も言わなかった。
中国にすりよってG2時代の到来を詠っているオバマ政権が、中国と取引することは十分に考えられ、劉暁波のノーベル平和賞阻止と引き替えに、米国へ亡命を認めるというあたりが落としどころかも知れない。
♪
(読者の声1)以下のご質問について回答です。
引用>(読者の声2)貴誌2670号の「読者の声2」の「東海子」さんにお教えを請いたいことがあります。「日本政府内にはコード名、『エコノミスト』など複数の日本人ソ連スパイ網があった」の根拠となる原典は何ですか。ある小説の中にも出てきており、気になっています。(神奈川LMN)<引用終わり
回答:2005年8月13日付けの東京新聞によると、KGBの機密文書庫から日本人スパイ、コード名「エコノミスト」からの通報が発見された。
彼の1941年9月9日づけ特別報告は御前会議における各出席者の発言を詳細に記しており、日本の真珠湾攻撃計画を伝えていた。
この人物は商工大臣と昼食をとるほどの高位の人物であったことからソ連ロシア問題の専門家滝澤一郎先生はエコノミストは有名なS・Kではなかったか、と述べている。英国留学中にソ連のKGBにスパイにリクルートされた可能性がある。
スターリンはスパイ相互の横の連絡を取らせなかったので、ゾルゲ組織以外にも複数の日本人スパイがいた可能性がある。東郷外相は東京裁判では、米国に死刑を求刑されたが、あの冷酷なソ連が懸命に助命に努めたので助かったという。
米国ではルーズベルトの大統領特別補佐官のアルジャーヒスがソ連スパイであったことは有名である。また英国では情報機関MI5の部長自身がソ連スパイだった。(東海子)
(宮崎正弘のコメント)拙著にも『ソ連スパイの手口』(山手書房)というのがありますが、残念ながら絶版です。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
3692 「人権のジの字」も言わないペロシ下院議長 宮崎正弘

コメント