平成21年度予算の税収は国税46.9兆円、地方税36.9兆円である。合わせて84兆円。
国税の内訳は所得税15.5兆円(構成比33.2%)、法人税10.5兆円(22.5%)、消費税10.1兆円(21.6%)、その他10.6兆円(22.7%)。
所得税は給与所得者は源泉徴収され、一切のごまかしというか節税ができないからなんとなくイマイマシイ。この所得に合わせて住民税も取られるが、その合計は単身者の場合、課税対象給与年額別で以下のようになる(平成19年、財務省)。
200万円(負担率4.9%)税額9.8万円、300万円(6.3%)18.8万円、400万円(7.1%)28.4万円、500万円(8.4%)42.1万円、700万円(11.2%)78.1万円、1000万円(15.2%)151.9万円。
年収1000万円で税金・住民税が毎月10万円超も天引きされたら随分シャクだろうが、年々増える社会保障費を担保し、かつ財政赤字を是正するためにはさらなる増税は避けられないから、小生が為政者なら「富の再配分」を錦の御旗に富裕層の所得税・住民税を上げるだろう。
2000万円なら20%、3000万円なら30%などとしてはどうか。ノブレス・オブリージュという名の金持ちバッシングであり、多くの国民が拍手するから政権の支持率も上がるのではないか。金持ちも貧乏人も、高額納税者も生活保護者も一票は一票だから民主主義とは恐ろしいものである。
米国は結構な累進課税であるようだ。ブルームバーグのキャロリン・ボーム記者がこう書いている。
<全米納税者連盟(NTU)によると、納税者上位1%(総所得38万9000ドル=約3600万円=以上)が2006年の個人所得税の40%を負担した。上位50%で全体の97%を負担し、残り50%の人が負担したのは3%にすぎない>
半分の人が所得税をほとんど免れているというのはすごい社会だが、お金持ちは随分苦々しく思っているのではないか。しかし、取りやすいところから取るのは徴税の常套手段だから、財政難の米国は富裕層からさらに金を巻き上げるつもりのようだ。
<オバマ政権は富裕層を標的にする必要が出てくるかもしれない。・・・納税者の側に「税の反乱」が今にも起きるのではないだろうか・・・今後4年足らずのうちに、有権者は民主党の増税路線への回帰について論争することになるだろう。寛大な政府から恩恵を受ける人がどう投票するかは分かるが、納税者が離れていかないかどうかが唯の一疑問だ>
みずほ総研が興味深いレポートを掲載している。
<米国では民主党系の識者を中心に、増税を視野に入れつつ、税制の累進性を高める方向での税制改革を提案する動きが目立つ。その狙いは、
1)格差問題やグローバリゼーション批判対策としての税制の活用、
2)新しい財源の確保、
3)政策目的の効果的な達成、
といった点にある>
原資がなければどんな政策も絵に描いた餅だし、重箱の隅をつつくような節税では高が知れているから、ここは増税するしかないのだ。
<具体的な提案としては、
1)ブッシュ減税の高所得者向け部分の廃止、
2)法人課税の強化、
3)ファンド課税の強化、
4)社会保障税の累進化、
5)高所得層の負担増を財源とした税制改革
などがあげられる>
消費税は逆累進性(低所得者の負担感が重い)と言われているから、5→8→10%へと緩やかに増税するしかない。片や富裕層から「分相応の税」を取ることに反対するのは富裕層だけだから少数派。反対しても多勢に無勢である。
こうして日米ともに累進性は高まるだろうが、金持ちに逃げられたらそれこそ角を矯めて牛を殺す、虻蜂取らずになってしまうから加減が難しかろう。どこまで可能なのか、財界人やエコノミストを集めた諮問会議で研究したらいい。
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