ワシントンでは最新のワシントン・ポスト=ABCニュース合同の世論調査でオバマ大統領の政策への国民の支持が急に下がり始めたことが話題になっています。この調査は7月20日に報道されました。ワシントン・ポストの大見出しは「世論調査が枢要政策でのオバマ低落を示す」でした。
それに合わせたかのように翌21日のニューヨーク・タイムズに載った同紙コラムニストのデービッド・ブルックス氏の「リベラル派の自殺行進」という記事が保守、リベラル両方の注目を集めています。
上記の世論調査ではオバマ大統領は全体の支持率が59%と、なお高い水準を示しました。しかしこの数字も先月は65%と、6ポイントの低下です。しかも総合的な支持率が60%の大台を割ったのはこれが初めてだそうです。逆に不支持は6月の31%から37%へと上がりました。
ブッシュ前大統領も就任後半年ごろの支持率は56%ほどでした。先代のブッシュ大統領にいたっては、同じ時期の支持率は64%です。だからオバマ大統領の支持率59%というのは、とくに高いというわけではないようです。しかも下降のカーブがどうも激しくなってきた気配があるのです。
この世論調査結果でオバマ支持派にとってもっと気になるのは、以下の諸点のようです。
▽オバマ氏の経済運営への支持が6月の56%から52%へと下がり、不支持が41%から46%へと増えた。
▽医療保険政策への支持が4月の57%から49%に減り、不支持が29%から44%に増えた。
▽連邦政府予算の赤字についても支持が6月の48%から43%に減り、不支持が48%から49%に増えた。
▽無党派層や年収5万㌦以上の層でのオバマ氏の経済運営への反対が急速に増えてきた。
以上の数字が示す傾向ももちろん一つの世論調査の結果ですから、こんごも変わるのでしょうが、上記のブルックス氏のコラム記事はオバマ大統領の「大きな政府」政策への一般アメリカ国民の反発が強まり、このままだと同大統領をかつぐリベラル派は国民大多数の支持を失う政治的な自殺へ追い込まれる、と警告しているのです。
超リベラル、オバマ支持のニューヨーク・タイムズのコラムニストのなかでもブルックス氏は穏健保守とされていますが、このコラムではオバマ氏側のリベラル派が天文学的な金額の政府資金を景気刺激や大企業国営化、さらには国民医療保険に投入しようとすることは明らかにイデオロギー過剰の暴走に等しいと論じています。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
3733 オバマ支持のリベラル派は自殺への行進 古森義久

コメント