インドが国産初の原子力潜水艦の進水式を行った。核搭載の戦力となることが予想される。ニューデリー共同は①隣国パキスタンへの警戒②新型戦略原潜の配備を進める中国への対抗・・・のため海軍戦力の増強と解説してきた。
だが、私にはいかにも唐突な感じを受けて、この記事を杜父魚ブログに収録するのに躊躇した。宮崎正弘氏の「中国の海軍力に囲まれてたインド」を拝読して、初めて事の重大性を認識した次第である。
<【ニューデリー共同】インド海軍は26日、同国が開発した初の国産原子力潜水艦の進水式を南部アンドラプラデシュ州ビシャカパトナムの海軍基地で行った。隣国パキスタンへの警戒や、新型戦略原潜の配備を進める中国への対抗のため海軍戦力の増強を目指す。
しかしインドの戦略原潜開発により中国の核軍拡に拍車がかかる恐れも否定できず、日本を含む東アジアの安全保障にも微妙な影響が出そうだ。(共同)>
大東亜戦争で日本軍は英印軍と戦っている。英国はインドからイギリス本土に物資を海路送ったが、その通商路を日本海軍の潜水艦が攻撃した。インドは独立していなかったが、英軍の指揮下で三万人のインド海軍が存在していた。
独立後のインド海軍は、女王陛下のイギリス海軍から旧式艦を貸与されて発足しているが、インド洋で最大の海軍力を持つ。通常動力型潜水艦はヴェラ級潜水艦二隻、シシュマール級潜水艦四隻、シンドゥゴーシュ級潜水艦十隻を数える。ヴェラ級潜水艦はソ連のフォックストロット型潜水艦を1973年にインドが取得したものだといわれる。
今度、進水式を行った原子力潜水艦は、1980年代半ばからロシアの技術協力を得て、国産化に成功している。弾道ミサイル(推定射程700キロ)を搭載する「戦略型」原子力潜水艦で、さらに「攻撃型」原子力潜水艦もロシアからのリースを計画しているという。
”中ロ”は対立から和解に移ったといわれて久しいが、インド海軍というプリズムを介して見ると、そう単純なものではない。それは”G2”の二国間関係といわれる様になった”米中”でも同じことが言える。やはりインドの国産原子力潜水艦の建造で、一番神経を立てているのは、八隻の原子力潜水艦を保有しているといわれる中国海軍ではないか。
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