自民党は7月31日に総選挙に臨む党のマニフェストを発表した。民主党はすでにマニフェストを発表しているので、二大政党によるマニフェスト選挙が始まる。厳密にいえば8月18日の公示日以降に発表される選挙公約がマニフェストだが、両党ともすでに発表したマニフェストの骨子は変わらないであろう。
FNNは両党のマニフェストについて、徹底検証して政策の違いを明らかにしている。
<自民党・民主党の政策内容の違いは何なのか徹底検証しました。
麻生首相が「安心」・「活力」・「責任」をキーワードとする自民党のマニフェストを発表しました。野党各党は早速、批判の声を上げていますが、自民、民主の政策内容の違いは何なのか、徹底検証しました。
民主党の発表から遅れること4日、31日にようやく、自民党がマニフェストを発表した。
会見で麻生首相は「私が訴えたいことは、『責任力』です」、「他党との違いは、責任力です」、「経済の成長政策のない政党では、景気回復は実現できません。安全保障に一貫性のない政党に、日本の安全を守ることはできません」と述べた。
逆風の中、麻生首相は民主党など野党との違いを強く主張した。
これに対し、民主党の鳩山代表は「(任期4年間で)6年後とか、8年後とか、10年後とか、そういうようなものをいくら話をされても、それは契約にはならない」、「時期などが示されていなければ、こういうものはマニフェストと呼べないんじゃないかと」と批判した。
そして、共産党の志位委員長も「安心な国民生活ということを押し出していますけれども、国民の暮らしの安心を奪ったのはいったい誰なのかと」、「この自らの政治への自覚もなければ反省もないと」などと述べた。
ここ数日のマニフェストをめぐる自民、民主の論争劇。
民主党が出したマニフェストの財源が明確ではないことに、関して与党は猛攻撃。
28日、甘利行革担当相は「まるでどこかのお店の閉店セールをやっているみたいで」と述べ、与謝野財務相も「財政はおそらく破たん状態になると思います」と批判した。
これに対し、鳩山代表は「財源の問題を自民党さん、公明党さんに言われる筋合いはない」と反論した。
しかし29日、鳩山代表は「正式なマニフェストというものではありません」などと述べた。
鳩山代表のこの発言が火に油を注いだ。
麻生首相は「ただ正直言って混乱しますね、聞いたほうはね」と述べた。
31日になって岡田幹事長は「今のマニフェストは正式なマニフェストです」、「完全にとは言えませんが、最終版にきわめて近いものだとお考えいただいていいと思います」と発言をフォローした。
こうしてようやく出そろったマニフェストだが、両党のマニフェストを見比べると、民主党の表紙は「政権交代。」と鳩山代表の顔が大きく使われているのに対し、自民党は麻生首相の顔がない。
麻生首相の顔は表紙にまったく使われず、最後の最後に小さく使われているだけだった。
注目の中身だが、自民党の子育て・教育対策は、3年間で3歳から5歳の幼児教育の無償化を掲げ、さらに高校、大学にも返還義務のない新たな奨学金制度創設などを盛り込んだ。
中学卒業まで1人月々2万6,000円を支給する「子ども手当」と公立高校の無償化を明記した民主党のマニフェストの目玉に対抗する内容になっている。
選挙の鍵となる子育て世代をにらんだ両党のマニフェスト。
街の人からは「お金は欲しいですけど、夢で終わっちゃうのかな」、「助かるだろうけど、その分、その負担は誰がするのかなって」、「(自民党と民主党を見比べて)五十歩百歩じゃないかなぁと思うんですけどね」といった声が聞かれた。
景気・雇用対策で自民党は、今後3年間で200万人の雇用を確保し、家庭の手取りを100万円増やすことを目指している。
一方の民主党は、中小企業の法人税率を11%に引き下げ、さらにガソリン税暫定税率の廃止や、高速道路無料化などをうたっている。
麻生首相は31日の会見で「民主党は『子ども手当』に5兆円、高速道路無料化に2兆円、けた違いのばらまき政策だと見えます。財源は予算を組み替えたら何兆円もわいて出てくるかの、まったくの夢物語に見えます」と述べた。
この会見に対し、鳩山代表は「夢というのは大事じゃないでしょうかね」、「夢物語を現実にするのが民主党政権だと、そう思います」と述べた。
財源について民主党は、「無駄の根絶」、「埋蔵金の活用」などで賄うとしているのに対し、自民党は「消費税の引き上げ」に言及。
2011年度までに必要な法整備を終え、景気好転後に引き上げるとした。
31日の会見で麻生首相は「どうかこの8月を、日本を考える1カ月にしてください」と訴えた。本格的な政策論争が火ぶたを切り、マニフェストを携え、麻生首相は地方遊説に出る。(FNN)>
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