3839 水携行不可欠の旅行 渡部亮次郎

数年前、中国を訪れて、つい水道水を飲んでしまい猛烈な下痢に襲われた末、低血糖を起こして病院に担ぎ込まれた。原因は中国の水が「硬水」であるため。
含まれているマグネシウムイオンは水分子と強く結合(水和)し、体内に吸収されにくい。これを人間が摂取すると、大腸に長時間留まり、水の吸収を妨害する。
この結果、腸内に水分が溜まり、下痢を起こすこととなる。このような理由で、硫酸マグネシウムを多く含む硬水を飲むと下痢をしやすくなる。
だから田中訪中(1972年)の同行取材に先立って外務省の担当官から「決して生水は飲まないで。湯冷ましを飲んでください」と注意されたものだ。中国はいくら金持ち国ニなっても硬水の国からは抜けられない。飲み水は携帯していかなければならない。
アメリカやヨーロッパの水には硬水(こうすい)が多い。カルシウムイオンやマグネシウムイオンが多量に含まれている。日本では関東地方の一部や沖縄で見られる。逆のものは軟水という。
語源については、欧米の hard water がそのまま和訳されたというもの、物を硬くする成分を含んでいるため硬水といわれる(『豆を煮ると豆が固くなる水』、『絹を精錬するとき絹が固くなる水』というものがある)。
硬水は含有するイオンによって一時硬水と永久硬水の2種類に分けることができる。前者は石灰岩地形を流れる河川水、地下水などで、炭酸水素カルシウムを多く含み、煮沸することにより軟化することができる。中国のはこれだ。
ヨーロッパの水はカルシウムやマグネシウムの硫酸塩・塩化物が溶け込んでいるもので、煮沸しても軟化されない。以前は飲用できない水であったが、現在はイオン交換樹脂で容易に軟化できる。
硬水は一般に、飲料水、洗濯、染色や工業等の用途には適さない。
しかし硬水の中でも飲用に適しているものも存在し、水に含まれているミネラルを栄養として利用するために、飲料として販売されているものもいくつか存在する。(例:コントレックスなど)
石鹸は脂肪酸とナトリウムの塩であるから、硬水のマグネシウムイオンと出会うと不溶性の塩(石鹸かす)を生じるため使用感が悪い。また、衣類にその塩が付着するので色のくすみが生じ、衣料の保存中にそれが分解して脂肪酸になり異臭を発したりする。
染色ではカルシウムイオンが染料と反応し、不溶性の色素が生じ、それが繊維と結びつくため、色ムラが生じる。
硬水が蒸発すると、含まれていた塩類が析出する。したがって自動車の洗浄に用いた場合などはすぐに拭き取らないと白い斑点が生じる。一時硬水を自動車のエンジンの冷却水として使用するとオーバヒート・水漏れなどの問題が生じる場合がある。また工業用ボイラーにおいては、加熱によってスケール(缶石、水垢)が生じるため、熱効率を著しく低下させる。
一時硬水を煮沸すると炭酸カルシウムを沈降させることができる。また、軟水化剤の投入でカルシウム塩を沈殿させることもできる。
蒸気機関車が鉄道の主力であった時代は軟水の確保は深刻な問題だった。砂漠の中の機関車給水設備には必ず軟水化のための施設が付属していた。
軟水(なんすい)は、カルシウムやマグネシウムのイオン含有量が少ない水。工業用水に向き、飲用、炊飯にも適す。日本では、カルシウムとマグネシウムの量がリットル当たり177mg(硬度178)以下の水のことを言う。
軟水は金属石けん(石けんカス)が出来にくい。また、硬度60の水と硬度1の水では、石けんを溶かす能力に2倍の差がある。飲んだときまろやかな感じなのが特徴。
日本の水は外国に比べて、硬度が低いとされている。 また、一般的に和食やコーヒー、お茶などの用途には軟水がよいとされている。
日本の水道水は、硬度80前後で軟水と言われている。近年エコキュート機器等普及で硬度ゼロの軟水が求められる時代になって来ている。
軟水を用いて日本酒を醸造すると比較的まろやかな甘口の酒(女酒)が、硬水を用いるときりりとしまった辛口の酒(男酒)ができるとされる。
ミネラルウォーター (Mineral water) とは、容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするものを言う。特に、原水の成分に無機塩添加などの調整を行っていないものは、ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーターと呼ぶ。国内生産量では山梨県が日本一である。
炭酸含有の有無
欧米では、ミネラルウォーターの原料となる水に元々炭酸が含まれているものがあり、ミネラルウォーターといえば炭酸水を指すことが多い(代表例:サンペレグリノ)。
炭酸水を冷やさずに常温で飲むと独特の味わいになるため、日常的に炭酸水を飲む習慣がない日本人には馴染めないことがある。特に「ガスなし」と断らないと炭酸水が出てくることがあるので注意すること。出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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