3840 消費も冷えるあっけない夏 平井修一

お盆を過ぎたので海水浴シーズンもおしまいになりつつあるが、今夏はギラギラの陽射しが少なかったようだ。熱帯夜でうんざりしたのはたったの1晩で、我が家でクーラーをつけたのはたったの3回である。
このまま夏は終わってしまうのか。気象庁の8月23日~29日の予想によると、全国的に平均気温は「かなり低い」ようだ。過去10年の積算日照時間(7月1日~8月20日、全国平均)も最低ラインである。お百姓にとってはたいそう悩ましかろう。
農水省の「水稲の作柄に関する委員会」(8月7日)では、このような声が聞かれた。
<水稲の生育は、天候が5・6月においては全国的におおむね平年並みであったものの、7月以降日照時間が平年を大きく下回っていることから、稲体が軟弱徒長気味に生育していると考えられる。
このため、作柄については、日照不足の影響に留意し・・・いもち病や倒伏の発生状況に留意する必要がある>
民間調査会社「米穀データバンク」によれば作況指数は「やや不良」だ。
<2009年産(平成21年産)水稲は、田植え以降、気温が高く推移(北日本では6月中旬の低温で生育抑制があったものの、下旬の高温で回復)し、生育は概ね平年並みに推移してきましたが、7月の記録的な多雨、日照不足や、7月中・下旬の低温傾向により生育が抑制されています。
全国の作況指数は96の「やや不良」になることが予想されます。地帯別では、関東が作況指数99の「平年並み」、東北、北陸、東海、近畿、中国、四国、沖縄が作況指数95~98の「やや不良」、北海道、九州が作況指数94以下の「不良」が見込まれます>
夏らしい夏でないと困るのは農業ばかりではない。アサヒコム(8月14日)によると、セブンイレブンではアイスクリームや清涼飲料が苦戦し、7月の売上高は1年4カ月ぶりに前年を割り込む5.5%減(前年比較できる既存店ベース)に落ち込んだ。
ビール系飲料も7月としては92年以降で最低の出荷量に。アサヒビールの荻田伍(ひとし)社長は「8月上旬も上向く傾向はほとんど感じられない」という。
スーパーでも、スイカやそうめん、ゼリーなど、涼しさを演出する商品は伸び悩みが目立つ。
夏物衣料もふるわない。ここまで好調を維持していたカジュアル衣料の「ユニクロ」も天候には勝てず、この時期最も売れるはずのTシャツやショートパンツが不振。7月の売り高は4.2%減と9カ月ぶりの前年割れになった。
<省エネ家電の買い替えを支援する「エコポイント」制度の対象になっているエアコンでさえ、7月以降は台数ベースで前年より3割ほど落ち込んでいる。三菱電機の吉松裕規常務執行役は「天気が悪く、景気も悪い。天気、景気の二重苦だ」と嘆く>
冷夏の原因はエルニーニョ現象のようだ。気象庁では「7月の日本の天候では、沖縄・奄美を除く各地で多雨、寡照となり、九州南部と関東甲信を除く各地で梅雨明けが平年よりも遅かった。これらの要因の一つとしてエルニーニョ現象の影響が考えられる」としており、今後もこの影響は続きそうだと見ている。
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