昨年春に八年ぶりに政権を奪還した台湾の馬英九政権だが、早くも国民の支持を失い、国民受けを狙ったダライラマ訪問を認めたものの、中国から厳しい反対の声明を出されてダッチロール状態となっている。
宮崎正弘氏によると台風の被災地救済に遅れた馬政権は人気が一気に低落。そこで台湾民衆に人気があるダライラマ法王の訪問を認めて人気回復を企図したという。
ところが、これに噛みついたのが中国政府。これまで馬政権は中国と蜜月関係を築いてきたのだが「いかなる形であれ、我々はダライの台湾訪問を反対である」と声明を出した。馬政権はピンチを迎えている。
<来週、ダライラマ法王は台湾南部を襲った台風の犠牲者を追悼するために台湾へ入る。野党民進党の招待によるもので、陳菊・高雄市長はさきに北京訪問から還ったばかりだが、「ダライラマ法王は純粋に宗教活動、追悼儀式のためにおみえになる。政治的意図はない」と記者会見している(フィナンシャル・タイムズ、8月28日付け)。
すでに台湾政界は、台風被災地への救済遅れが批判され、馬総統の支持率が急落。馬政権は立ち往生、国防大臣、官房長官に続いて27日には外務大臣も辞任、劉兆玄首相も辞意を表明しており、内閣が機能しない状況に陥っている。
とくに軍の出動遅れを批判されており、「馬は台湾人民のことを考えているのか」と非難囂々に直面していた。
ダライラマ法王は李登輝、陳水扁政権のときに数回、台湾を訪問しているが、08年の訪問を「時期が悪い」と言って馬政権は拒否し北京におもねる姿勢を取った。今回は台湾南部の民衆から待ち望む要望が強く、馬政権としては認めざるを得なかった。
北京は27日になって声明をだし、「いかなる形であれ、我々はダライ(よびすて)の台湾訪問を結論として反対である」と吠えた。>
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